借金・債務の問題を解決するために、どのような方法があるのでしょうか?

 テレビCMやインターネットなどで「任意整理」、「自己破産」、「個人再生」などといった言葉を聞いたことがある方は多いと思います。しかし、それぞれ、どのような手続きなのか、「詳しいことはわからない」という方も多いかと思いますし、内容を誤解されている方もいらっしゃるのではないかと思います。

 ここでは、それぞれ、どのような手続きになるのか、どのような特徴があるのか、簡単に説明をさせて頂きます。それぞれ、詳しい説明へのリンクも掲載しています。

3種類の方法の比較

 「債務整理」の方法は、大きく分けると

① 自己破産
② (個人)再生
③ 任意整理

の3つがあります。このうち、自己破産と(個人)再生は、それぞれ、破産法と民事再生法という法律に規定のある制度です。これに対し、法律上、「任意整理」という言葉の定義はありませんし、「任意整理」と呼ばれる制度があるわけではありません。「任意整理」の中身は、事案によって異なってきます。

 そのため、任意整理については一般論をお話しにくいところではありますが、ざっくりと制度の違いを図にすると、以下のようになります。

自己破産個人再生任意整理
裁判所を使う使う(原則)使わない
借金を免除してもらう減額したうえで
分割で返済する
(通常)債権者と話し合い、
分割で返済するなどの合意をする
財産を(原則)手放す(原則)手放さない(原則)手放さない
債権者の同意は不要一部必要(原則)必要
資格制限があるないない
信用情報(ブラックリスト)に(通常)載る(通常)載る(通常)載る

 それぞれ、簡単に説明をしていきます。

 なお、ここでは、個人の方の債務整理を中心にご説明します。法人・個人事業主の債務の整理については、個人の債務整理と大きく異なる部分がありますのでご注意ください。

  • 債務整理の手続には、大きく分けると自己破産・個人再生・任意整理の3つがある。
  • 自己破産と個人再生は法律に規定がある。任意整理は規定がなく、事案によって内容が異なる。

自己破産

 自己破産は、簡単に言うと、自身の財産を手放す代わりに、借金を免除してもらう手続きです。税金など、一部の免除されない借金を除き、借金の支払いの義務がなくなります。「借金を支払わなくてよくなる」という部分が、自己破産の最大のメリットです。

 一方で、自己破産にはデメリットもあります。主なものは以下のとおりです。

㋐ 財産の清算

 一定額までの現金や預貯金などを除き、原則として、自身の財産を全て手放す必要があります特に不動産(家・土地など)を所有している場合は、原則として手放すことになります。自動車についても、手放すことになる可能性があります。

㋑ 資格制限

 警備員、保険の外交員など、一部の資格について、資格制限があります。これらの職業には、破産手続中は就くことができません。

㋒ 免責不許可事由

 借金をつくった主な理由が浪費・ギャンブルである場合など、借金が免除されない場合があります。なお、借金の原因が浪費などである場合も「裁量免責」という制度により免除される場合も多くあるため、すぐに破産をあきらめる必要はありません。専門家でなければ判断の難しいところとなりますので、あきらめることなく、専門家に相談されることをお勧めします。

㋓ 手続きの手間・費用

 破産の手続きには、一定の時間と費用がかかります。また、原則として、裁判所や破産管財人との面談もあり、裁判所や破産管財人の事務所に出向く必要があります。

 債務整理に関する考え方は専門家によって様々ですが、私は、上記のデメリットをクリアできる場合には、自己破産をお勧めすることが多いです。経済的な再出発をするにあたり「借金が免除される」ことが非常に大きいからです。

 ご自身が自己破産をした場合にどのようなメリットとデメリットがあるのか、詳しくは専門家にお尋ね下さい。

  • 自己破産は、自己の財産を手放す代わりに借金を免除してもらう手続きである。
  • 財産を手放さなければならないこと、資格制限があること、借金の免除を受けられない可能性があることなどのデメリットもある。
  • 借金の免除を簡単にあきらめる必要はなく、まずは専門家に相談すべきである。

個人再生

 個人再生は、簡単に説明すると、裁判所の仲介により、借金の総額を減らし、その減らした借金を分割で返済していくという手続きです。借金の返済は、原則3年(36回払い)、例外的に5年(60回払い)まで伸ばすことがあり得ます。

 個人再生の手続は、他の手続と比較して、

  • 個人再生では、裁判所の力を借りることにより、返済すべき借金の総額を減らすことができる
  • 自己破産の場合と異なり、資格制限や免責不許可事由がない。

 というメリットがありますが、その一方で、

  • 個人再生は裁判所の手続きであるため、自由が少ない。「民事再生法」という法律に従って手続きを進めなければならない。一般に、自己破産や任意整理に比べて手続が複雑となり、負担が大きい。
  • 一定の安定した収入がなければ、裁判所に再生計画を認可してもらえない。裁判所に再生計画を認可してもらえなければ個人再生の手続を利用することはできない。

 というデメリットがあります。

 個人再生は、一般的に破産手続以上に手間がかかる上、(返済額が減るとはいえ)一定期間の返済が続くことになるため、手続きの利用にそれなりの負担が生じます。そのため、自己破産の利用に差支えのないケースでは自己破産を利用することが一般的かと思います。ただし、自宅の住宅ローンを支払っておられる方の債務整理の場合、個人再生の「住宅資金特別条項」を使うことにより、自宅を残し、住宅ローンの支払いを続けながら、その他の借金を減らすことができる可能性があるため、個人再生が第一の選択肢となることがあります。

 詳しくは専門家にご相談下さい。

  • 個人再生は、裁判所の仲介により、借金の総額を減らし、その減らした借金を分割で返済していくという手続きである。
  • 住宅ローンの支払いを続け、住宅の所有を続けながら債務整理を行うことができる可能性がある
  • 一般的に、自己破産に比べ、手続きは複雑になる。

任意整理

 「任意整理」は、一般的に、裁判所を通さず、直接貸し主(債権者)と交渉する方法のことをいいます。債権者との直接の交渉となるため、裁判所のルールに縛られることなく、自由な交渉を行うことができます。

 ただし、以下の点に気をつける必要があります。

  • 債権者との合意がないと任意整理による解決はできません任意整理の場合、原則として裁判所を利用しませんので、強制力がありません。相手方が交渉のテーブルに乗ってこないこともあり得ます。
  • 一般的に、あまりに長期間の分割には応じてもらえません債権者によって異なりますが、36回払いや60回払いを上限としている債権者が多いように思われます。
  • 常に借金の元本を減額してもらえるわけではありません。任意整理成立時以降の利息(「将来利息」といいます。)については免除を受けることが一般的ですが、元本や過去の利息の免除に応じてもらえるケースは限られています。また、最近は、債権者より将来利息の免除も拒否されるケースがあります。
  • 債権者との交渉が成立しない場合、裁判所を通じた手続きを選択せざるを得なくなることが多いです。自己破産や任意整理に切り替える、特定調停等の裁判所の手続きを利用する、債権者の側から訴訟を起こされる、などがあり得ます。任意整理を選択したからといって裁判所の関与する手続きを必ず回避できるわけではありません。
  • 一般的に、任意整理であっても信用情報(いわゆるブラックリスト)に登録されます。通常、借金の滞納が生じたり、弁護士・司法書士等が介入した時点で情報を登録されます。

 任意整理は、原則として裁判所を通さないため、自由度が高く、時間もかからず、借金の整理を行うことができる可能性があります。一方で、上記のようなデメリットも存在することをご理解頂く必要があります。なお、当事者同士の話し合いで解決できない場合には、裁判所の「特定調停」など、第三者に話し合いを仲介してもらう手続きもあります。

 相談者にとって任意整理が好ましいのか、裁判所を使う手続きが好ましいのか、その判断は専門家でなければ難しいものとなります。ぜひ、専門家に相談をしてください。

  • 債権者(お金を貸している側)の協力がなければ手続きを進めることは難しい。
  • 柔軟な解決をすることができる一方、うまくいかないケースもあり、問題を解決できなくなるかもしれない。
  • 事案によるが、ブラックリスト入り回避などを達成することは難しい。

その他の手続き(広く言えば、これらも任意整理の一種です)

 長期間、貸し借りを行っていなかった債権者(あるいはその会社から委託を受けた/債権の譲渡を受けた債権回収会社)から請求書が届いた、訴状・支払督促などが届いたというケースでは、消滅時効を援用することができるかもしれません。これは、簡単に言うと「その権利は期限切れですよ」と主張する(「消滅時効の援用」といいます。)ことにより、支払いを免れることができるというものです。

 また、十数年以上にわたり返済を続けていたケースだと過払いになっている、簡単に言うと、本来返済しなくてよい部分まで返済をしており、払いすぎになっている、というケースもあります。この場合、過払金の返還請求を行うことができる場合もあります。

 また、いわゆる「ヤミ金」などによる違法な取り立てに対しては、専門家が対応し、請求を止めさせる場合もあります。

 上記のどの制度を使うべきなのかの判断は一般の方には難しいものとなりますから、ぜひ、一度、専門家にご相談頂ければと思います。

  • 事案によっては「消滅時効の援用通知」を送れば解決するケース、過払金を回収できるケースもある
  • どの手続を利用するべきかの判断は、専門家でなければ難しい。

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