家庭裁判所から「調停」の呼出状が届きました。これを無視すると不利益になるのでしょうか?

 突然、家庭裁判所から「夫婦関係調整調停」や「養育費請求の調停」などの調停の呼出状が送られてきた場合、どうすればよいのでしょうか?ご自身で調停に出席し対応をされたり、弁護士に依頼をしたりされる方が多いと思いますが、中には、「無視をする」という選択を考える方もいらっしゃると思います。この家庭裁判所からの調停の呼出状を無視した場合、不利益は発生するのでしょうか?解説します。

調停の呼出しを無視した場合、どのようになるのか?

 まず、家庭裁判所からの調停の呼出状を無視した場合、どのようになるのか、不利益は発生するのか、という点について解説をします。

① 調停の呼出しに応じなかった場合、家庭裁判所はどのように対応をするのか?

 地方裁判所や簡易裁判所の訴状を無視した場合、相手方の言い分がそのまま認められ、その結果、給料や財産の差押えを受けるなどの不利益を受けることになることがあります。一方で、家庭裁判所からの調停の呼出しを、1回、無視したからとしても、いきなり、調停の申立てをした方の主張を全て認めて、給料や財産の差押えを受けることに直結するということは、通常、ありません。調停の相手方となった方が1回目の調停に出席をしなかった場合、通常、家庭裁判所は、手紙や電話などで、2回目の調停の期日に出席をするよう、促してきます。1回目で調停を打ち切ることもあり得ないわけではありませんが、何らかの事情により相手方の出席が明らかに見込まれないような場合を除き、1回で調停を打ち切るという対応をするケースはあまりありません。

 ただし、このような家庭裁判所の運用があるからといって初回の調停期日を無断欠席することは好ましくありません。指定された初回の調停期日に出席できない場合は、その旨を家庭裁判所に連絡をすべきです。

 また、調停への欠席を続けていた場合、以下のように不利益を受けることがあり得ます。離婚調停(正確には夫婦関係調整調停)・離縁調停などの場合と、婚姻費用・養育費などの調停の場合で扱いが異なりますので、以下、ご説明します。

② 離婚調停・離縁調停などの呼出しを無視した場合

 離婚や離縁などの調停などについては、相手方が調停に出席しないなどして調停が成立しない場合、そのまま調停は終了となります。欠席により調停が終了する場合、欠席した側が不利益を受けるということはありません。

 ただし、その後、離婚や離縁などを求める側が、離婚や離縁の訴訟(裁判)を起すことがあります。この裁判にも欠席をした場合、離婚や離縁などを認める判決を受けることがあり得ます。地方裁判所の訴訟とは異なり、被告(相手方)が欠席をした場合であっても、原告(離婚などを求める側)の言い分が全て認められるとは限りません。ただし、欠席をして反論をしない場合は、通常、原告に有利な判決が出ることになるでしょう。そして、この判決の中で養育費・財産分与・慰謝料などの支払いが命じられた場合、給料や財産の差押えを受けることもあり得ます。家庭裁判所の手続を放置し続けると、いつかは不利益を受けることになります。

③ その他の調停(婚姻費用の調停・養育費の調停など)の呼出しを無視した場合

 婚姻費用の調停や養育費の調停などは、相手方が欠席をするなどして調停が成立しない場合、自動的に「審判」に移行します。離婚などの調停のように「調停不成立」で終了するわけではありません。「審判」では、家庭裁判所の裁判官が、資料を参考に、相当と考える結論を決めます。裁判官がどのように判断をするかは事案と証拠の状況によりますので、必ずしも申立てをした方の意見が全て認められるわけではありませんが、反論をしないことにより、不利な判断を受ける可能性は高くなります。婚姻費用や養育費などの支払を命じる審判が出されると、この審判により、給料や財産の差押えを受けることがあり得ます。

 このように、婚姻費用や養育費の調停については、無視を続けると、自身にとって不利な判断を受け、給料や財産を差押えられるなど不利益を受けることにつながります。放置を続けることは危険です。

忙しくて調停の期日に出席できない場合、どのようにすればよいのか?

 交渉段階から双方に代理人がついているような場合などを除き、初回の調停期日は、相手方となる方の意見を聞くことなく、決定されます。初回の調停期日は、郵便が送られてきた後、1か月程度の日を指定されることが多いですが、既に予定が入っているなどして出席できないこともありうるでしょう。このような場合、家庭裁判所に「第1回の調停期日は都合により出席することができない」と返答をすることになります。この場合、家庭裁判所は、第2回の調停期日を調整してくれます。第2回の調停期日は、相手方の出席できる日を調整しますので、第2回以降は調停に出席するようにして下さい。なお、家庭裁判所は、夜間や土日祝日に調停期日を設定することはありません。調停の期日は、平日の午前か午後となります。

 どうしても調停期日に出席することができない場合、弁護士を代理人に選任し、弁護士に調停への出席を依頼することになります。家庭裁判所は、弁護士による代理の出席を認めています(ただし、離婚調停を成立させる場合は、原則として、ご本人の出席を求めます。ただし、本人が出席せずに離婚を成立させることができないわけではありません。)。平日の昼の調停出席がどうしてもできないという方は、一度、弁護士にご相談下さい。

家庭裁判所が遠くて出席することができない場合、どのようにすればよいのか?

 家庭裁判所の調停の管轄は、通常、相手方の住所地となります。そのため、調停の相手方が遠方の裁判所に行かなければならないということは、通常はありません。ただし、申立人の側に子が住んでおり、その調査が必要な場合などは、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所で調停が行われることもあり得ます(最終的には、家庭裁判所の裁量で決定します。)。また、離島にお住いの場合など、そもそも管轄の裁判所までのアクセスが悪いということもあり得ます。

 家庭裁判所は、このような場合に、電話による調停への出席を認める、最寄りの裁判所からウェブ会議で調停に参加することを認めるなどの対応をすることがあります。家庭裁判所が遠方で出席することができない場合、まずは、家庭裁判所に問い合わせをするようにして下さい。調停に参加できるよう、配慮をしてくれます。

 なお、遠方の裁判所が管轄裁判所となった場合の対応については、以下のリンク先もご覧ください。

相手方から暴力を受ける可能性があるような場合、どうすればよいか?

 家庭裁判所の調停に出席した場合、相手方から暴力を受ける可能性があるので出席することができないというケースでは、家庭裁判所に事前に相談をすることで、集合場所・集合時間などを分ける、電話による調停への出席を認めるなどの配慮をしてくれることがあります。まずは、家庭裁判所にお問い合わせ下さい。また、弁護士に依頼をしていれば、弁護士のみが調停の期日に出席するということもあり得ます。

 DV問題への対応については、以下のリンク先もご覧ください。

気持ちの面から家庭裁判所に行くことができない場合、どうすればよいのか?

 気持ちの面から家庭裁判所の調停の期日に出席することは難しいという方もおられると思います。しかしながら、先ほどもお話ししたとおり、調停の手続を無視し続けると、不利益を受けてしまうことにつながります。精神的にしんどい場合であっても、何らかの対応をしなければなりません。

 このような場合への対応方法について正解はありませんが、まずは、弁護士に相談されることをお勧めします。弁護士に依頼を頂ければ、とりあえずは弁護士のみが調停の期日に出席するということもできますし、弁護士同席であれば調停の期日に出席することができるかもしれません。まずはご相談いただき、対応方法を検討しましょう。

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