離婚時の手続にはどのようなものがあるのでしょうか?

 ここでは、離婚の際の諸手続きについて説明をさせて頂きます。協議離婚の場合と裁判所の手続を利用した場合で異なりますので注意が必要です。

 また、離婚後には、名義の書き換えなどの手続が必要となることもありますので、注意が必要です。

協議離婚の場合

 協議離婚の場合、離婚届を作成し、市区町村の役場に提出することとなります。協議離婚の場合、離婚届には夫婦両名の署名が必要です。以前は押印が必要でしたが、デジタル改革関連法の成立により、押印は不要となりました。現時点の運用は、押してもよいし、押さなくてもよいということになっています。

 協議離婚をする場合に最低限決めなければならないことは、以下のとおりです。

① 離婚をすること
② 未成年(18歳未満)の子がいる場合、その子の親権者

上記の2つについて夫婦間で合意が成立していない場合、離婚届を受け取ってもらうことはできません。上記の2つについて合意をし、決まった内容を離婚届に書き込む必要があります。また、離婚届には、住所・本籍地など必要な情報を書き込む必要があります。

 離婚届を提出する際には、離婚届に2名の証人の署名が必要となります。この2名は「20歳以上で離婚の当事者でない」という要件を満たせばだれでもよく、全く知らない方でも、外国籍の方でも問題はありません。また、証人になったからといって法律上の責任を負うことはありません。

 相手方の署名を偽造して離婚届を提出した場合、(協議)離婚は無効ですし、有印私文書偽造罪、電磁的公正証書原本不実記録罪などの犯罪行為にも該当します。実際に、逮捕され、有罪判決を受けている事案もあります。どのような事情があっても離婚届を偽造することはしないでください。

 「署名を偽造されて離婚届を提出されてしまった」という事案では、調停や裁判で離婚の無効を争うことになります。署名を偽装されてしまった相手方の方は、できる限り早く、弁護士に相談されることをお勧めします。

 協議離婚の場合、離婚届以外に作成しなければならない書面はありません。ただし、養育費や面会交流などについて取り決めをした場合には、書面に残しておくことが多いと思います。口約束でも問題はありませんが、口約束の場合、仮に相手方が約束を守らなかった場合でも約束があったことを証明することが困難になりますので、後々の紛争を防止するために書面に残しておくことが重要です。そして、特に養育費については、公正証書で作成することにより、強制執行が可能となります(強制執行が可能となるように文言を調整する必要はあります。)。この点は重要ですので、協議離婚をする場合はご注意ください(逆に、強制執行を考えないのであれば、離婚の協議書を公正証書で作成する必要はありません。)。

 なお、協議離婚の際に養育費や面会交流の取り決めをしなかった場合も、離婚後にこれらを決めることは可能です。話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所の調停手続きを利用することもできます。ただし、以下の点に注意が必要です。

① 養育費については、家庭裁判所一般の運用として、請求時からの養育費しか認めない運用のため、離婚時からの調停申立てまでの間の養育費が払われなくなる可能性がある。
② 離婚時の財産分与(結婚していたときに夫婦で形成した資産を分割する手続き)については、離婚が成立した日から2年を過ぎると請求する権利が失われてしまう。
③ 年金分割についても、手続きができるのは、離婚後2年以内に限定されている。

  • 協議離婚の場合、手続きとしては市区町村役場に離婚届を提出するのみである。
  • 養育費などについて、権利を確保するためには、公正証書を作成するなどの検討が必要となる。

調停・審判・裁判・和解など、裁判所の手続による離婚の場合

 裁判所の調停・訴訟等により離婚が決まった場合にも離婚届の提出は必要です。裁判所の手続きで離婚が成立する場合、離婚の成立日は、調停離婚の場合は調停成立時、和解・認諾による離婚の場合は和解成立時・認諾時、審判・判決による離婚の場合は確定時(原則、審判や判決が両当事者に届いてから14日を経過した後。最高裁判所の判決の場合は判決の瞬間。)になりますので、離婚届の提出がなくとも離婚は成立します。しかしながら、離婚が成立したことを報告する義務があるため、離婚が成立した日から10日以内(離婚が成立した日も含めて10日以内。戸籍法43条。)に離婚届を提出する必要があります。法律上、10日以内に離婚届を提出しない場合、過料をという、違反金の請求を受ける場合があります(戸籍法135条。5万円以下の過料に処すると定められています。)。

 調停・審判・訴訟(判決・和解・認諾)で離婚が決まった場合、相手方の署名は不要で単独で離婚届を提出することが可能です。届出をするのは、どちらか一方です(調停離婚の場合は、どちらが提出するかを調停の中で決め、それがわかるよう、調停調書に記載されます。もう一方の側から提出することはできません。)。裁判所から必要書類を受け取った上で、各市区町村の戸籍課で離婚届を提出してください。証人は不要です。また、結婚当時の本籍地以外の市区町村に届け出を行う場合には、あらかじめ戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)を取得しておき、これも戸籍課に提出する必要があります。

  • 裁判所の手続で離婚が成立する場合、離婚届を提出しなくとも離婚自体は成立する。
  • ただし、離婚成立日から10日以内に離婚届を提出する必要があり、これを怠ると過料(違反金)を支払わなければならなくなる可能性がある。

その他の手続き

 離婚届提出後の手続きとしては、以下のようなものがあげられます(これが全てではありません。何が必要かはその方によって異なります。)。

  • 婚姻の際に称していた氏を引き続き利用する場合は、3か月以内に届け出をする。
  • 年金分割についての定めが行われた場合には、年金事務所で手続きを行う(離婚成立後、2年以内にする必要があります。なるべく早く手続きを行っておくことをお勧めします。)
  • 相手方(元)配偶者の扶養に入っていた場合には、健康保険等の切り替えの手続きを行う。
  • 子の氏の変更の手続きが必要となる場合は、裁判所で必要な手続きを行う。
  • 氏、本籍地等に変更があった場合は、運転免許証や預金口座等の名義変更を行う。
  • 財産分与によって所有者が変更された財産について、名義変更、登記、登録を行う。不動産等については、登記・登録を変更しておかなければ、第三者との取引が発生した場合などにその権利を失う危険があります。

 いずれの手続についても、自身の権利を失わないようにするため、忘れずに対応することが必要となります。ご不明な点があれば各手続きを管轄する役所、銀行等に問い合わせを行うか、専門家に相談するようにして下さい。

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