弁護士に相談をした方がよいのはどのような場合でしょうか?誰に相談・依頼をすればよいのでしょうか?
このページをご覧になられているということは、借金や債務について、何らかのお悩みをお持ちなのではないかと思います。そして、その悩みについて、「相談をしてよいのかわからない」、「誰に相談をしてよいのかわからない」とお悩みの方もいらっしゃるのではないかと思います。
弁護士の立場からは、「お悩みがあるのであれば、どのような小さな悩みでも、まず相談をされた方がよい」と考えていますが、実際には相談のハードルは高いという方も多くいらっしゃるのではないかと思います。
そこで、ここでは、「必ず相談に行くべき状態はどのような場合なのか」「誰に相談をすればよいのか」について、お話をさせて頂きます。
どのような場合、専門家に相談に行くべきか?
先ほどもお話ししたとおり、「お悩みがあるのであれば、どのような小さな悩みでも、まず相談をされた方がよい」ですし、「専門家への相談のタイミングは早ければ早いほど良い」です。
その中でも、特に以下のような状況があれば、早急に専門家に相談をすべきです。
- 今月の返済が間に合わない
- 既に数ヶ月(以上)借金の返済が滞っている
- 返済のために借金をしている
- 返済が追いつかず、家族、友人などからも借金をしている
- 返済はできているが、利息しか返すことができていない
- ショッピング枠、リボ払いの残高が数十万~百万円(以上)になっている
- 借金の件で裁判所から手紙(訴状・支払督促など)が届いた
以上のような状況になっている方の多くは、すぐに借金の整理を考えるべき状態になっていると思われます。できるだけ早く、専門家に相談すべきです。特に裁判所からの通知が届いている場面では、回答期限もあり、期限を超えると給料や財産を差し押さえられたり、自宅などを強制的に売却されるなどの危険もありますから、緊急の対応が必要です。もちろん、対応が不要な場合もあり得ますが、対応が必要かどうかを見極めるためにも、一度、専門家に相談されることをお勧めします。
誰に相談・依頼をすべきか?
次に、どの専門家に相談に行った方がよいかという点についてお話します。
なお、債務整理の相談を専門的に取り扱うことのできる資格は弁護士と司法書士です。このどちらかの資格を持つ者に相談するようにして下さい。
さて、専門家を選ぶにあたっては、事務所の所在地、手数料・報酬の額など、様々な基準で検討されるかと思いますが、以下では、特に債務整理の相談において重要だと思われる点をご説明します。
① 弁護士・司法書士と直接話ができるか
資格のある弁護士・司法書士ではなく、資格のない事務職員がご相談者の聞き取りの対応する事務所もあります。しかしながら、債務整理の方針を決めるためには、法律や裁判所等の運用を知る専門職が対応しなければならない場面も数多くあります。無資格の事務職員のみによる聞き取りでは足りないことも多く、不適切な判断となりかねません。不適切な判断がなされると、費用・手間が何重にもかかるということにもなりかねません。例えば、最初から自己破産を選択すべき事案で先に任意整理を行ったことにより、結果的に任意整理の手数料が余計にかかってしまう、手続きを誤った結果、破産手続内で複雑な処理が必要となり、余計な費用と時間を要する、などの事態が起こりえます。
もちろん、日程の調整や簡単な連絡など、事務職員と電話で調整していただく場面もありうると思いますが、少なくとも方針決定の場面では、資格を持つ弁護士・司法書士と、直接、面談を行うべきです。電話やメールなどで簡単に相談を済ませたいというニーズがあることは理解していますが、債務整理を失敗しないためにも、専門家との直接の面談を選択されることをお勧めします。
なお、弁護士は、日本弁護士会連合会(日弁連)の定める「債務整理事件処理の規律を定める規定」という規則を守らなければなりません。この規則では、原則としてご相談者と直接面談をしなければならないとの定めがあります(同規定3条)。この規定を無視した対応をしている法律事務所(弁護士事務所)への依頼は、お勧めできません。
【参考 債務整理事件処理の規律を定める規定3条1項】
(聴取すべき事項等)
弁護士は、債務整理事件を受任するに当たっては、あらかじめ、当該事件を受任する予定の弁護士(中略)が、自ら面当該債務者と自ら面談をして、次に掲げる事項を聴取しなければならない。ただし、面談することに困難な特段の事情があるときは、当該事情がやんだ後速やかに、自ら面談をして、次に掲げる事項を聴取することで足りる。
一 債務の内容
二 当該債務者(当該債務者と生計を同じくする家族があるときは、当該家族を含む。 )の資産、収入、生活費その他の生活状況
三 当該債務者が不動産を所有している場合にあっては、その処理に関する希望
四 前号に掲げるもののほか、当該債務整理事件の処理に関する意向
② 不利なことも話すことのできる環境にあるか
債務整理の方針を決める際は、手続きを進める中では、不利なことを含め、すべてをお話ししていただく必要があります。債務整理を行うためには、資産、負債の状況、借金をした経緯、家計の状況など、他人に話したくない内容の聞き取りが必要不可欠です。浪費の有無なども確認する必要があります。このような話を含め、すべてを話しやすい専門家を選択すべきです(もちろん、専門家の方も話しやすい環境をつくることは大事です。いきなり説教をし始めるような専門家は選ぶべきではないでしょう。)。一度目の相談で、「話しやすい」と感じたのであれば相談を継続し、「話しづらいな」と感じられるであれば別の方を探す方がよいでしょう。
③ きちんと方針決定をしているか
もちろん、相談者は専門家ではないため、専門家が適切な判断をしているかどうか、わからないとは思います。しかしながら、㋐方針選択の根拠を示しているか、㋑相談者の希望だけで方針決定をしていないか、という点は重要です。弁護士・司法書士が方針選択の理由を述べない場合には、その根拠を聞くべきであり、きちんと根拠を示さない方に依頼すべきではありません。他方、相談者の意向を完全に無視して、専門家の判断だけで進めようとする方も適切とはいえません。相談者の意向を聞いたうえで、根拠を持って方針を説明することのできる専門家に依頼すべきだと考えます。
弁護士と司法書士の違いは何か?
上にも記載しましたが、債務整理の問題を取り扱うことのできる職種は、弁護士と司法書士です。インターネットで「債務整理」と検索をしても、この2つの業種が出てくると思います。そのため「弁護士と司法書士のどちらに相談に行けばよいのか?」という疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。
そこで、ここでは、弁護士と司法書士の違いについて、ご説明させていただきます。
① 債務額による制限
司法書士が扱うことのできる案件は、個別の債権額が140万円以下の案件に限られます。弁護士が取り扱うことのできる案件に制限はありません(少額の案件を取り扱うことができないということもありません。)。
② 業務内容の違い
弁護士は、訴訟・破産・個人再生等の裁判所が関与する手続きについて、代理人として、依頼者に代わって手続きを行うことができます。司法書士は、認定司法書士の資格を持っている方のみ、争われている額が140万円以下の訴訟に限り代理人となることができます。その他の手続きについては、書類の作成を代行するのみとなります。140万円を超える訴訟、破産、個人再生等を司法書士に依頼をされた場合、裁判所への書類の提出、裁判所との連絡、裁判等への出席は、原則として、自分自身で行うこととなります。
③ 費用
費用は、各弁護士・司法書士の報酬基準によります。役職によって費用が決まるわけではありません。必ず弁護士の方が高くなるというわけではありません。迷われている方は、一度、見積もりを取ってみられることをお勧めします。
以上のとおり、弁護士と司法書士では、取り扱うことのできる事件が異なってきます。140万円以上の債務が含まれている場合は弁護士に、それ以外の場合は弁護士か司法書士のどちらかに相談をすることになります。
なお、無資格で相談を受ける者がいないわけではありません。弁護士法・司法書士法違反の可能性があるのみではなく、不適切な処理をする危険も高いため、無資格者に相談をすべきではありません。相談相手が弁護士又は司法書士の資格を有しているか、必ず確認をするようにしてください。
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