本当に成年後見制度を使わなければならないのでしょうか?

成年後見や高齢者・障がい者の財産管理についてのご相談を受けていると

  • 銀行の窓口や役所などで「成年後見人を選任するように」と言われたが、本当に必要なのか?
  • 弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職の仕事を増やすため、無理やり成年後見制度の利用を勧めているのではないか
  • 成年後見制度の利用が本人のためにならないのではないか

などのご意見・ご質問を頂くことがあります。

 ここでは、「このようなケースで成年後見制度の利用が必要なのか」という疑問について、よくある質問に回答する形でお話しさせていただきます。

Q1 本人は施設に入所(あるいは病院に入院)しており、収入・支出とも全て銀行振込なので、後見人が行うべき業務はないと思います。それでも後見人は必要なのでしょうか?

 民法の規定のお話をすると、既に判断能力を完全に失っている方は契約をすることができません(民法3条の2)し、判断能力が不十分な方の契約は後に取り消されることがあります(民法9条、13条4項、17条4項)。もし、ご本人と施設が利用契約を結んでいる、あるいはご本人と病院が入院契約を結んでいる場合、それらの契約は、無効になったり取り消しの対象となったりしてしまいます。判断能力を失っている/不十分なご本人と施設や病院が契約を結ぶためには、ご本人の法定代理人である後見人等が必要となります。

 ただし、現実には、ご家族が施設・病院と契約を結ぶなどの方法により、対応ができているケースも多いかと思います。成年後見人(保佐人・補助人)の選任が必要となるかは、事案に応じて検討する他ありません。具体的な事情を踏まえ、専門家と検討されることをお勧めします。

Q2 私は本人の子です。いつも通り銀行で本人の預金口座からお金を引き出そうとしたところ、銀行から「成年後見制度を利用しなければ取引に応じない」と言われてしまいました。今後は成年後見制度を利用しなければならないのでしょうか?

 先ほどもお話ししましたが、判断能力を完全に失っている方がした契約は無効です(民法3条の2)し、判断能力が不十分な方が結んだ契約は取り消されることがあり得ます(民法9条、13条4項、17条4項)。金融機関側としては、契約が無効になったり取り消されたりするリスクを避けるため、無効・取り消しのリスクのある契約は拒否するという運用になっています。

 さらに、近年、各銀行が本人確認を厳格に行うよう運用を変更しており、たとえ親族であっても、本人以外の者による取引を拒否するようになってきていますす。本人が、まだ自分の意思を示すことができ、委任状を作成できる能力を持っていれば、(手間ではありますが)毎回委任状を作成し、ご家族らに取引を委任することで対応することはできます。しかしながら、ご本人の意思の確認ができなくなった後は、そのような方法をとることはできません。委任状を作成したとしてもその委任状は無効ですし、事情によっては窃盗罪などの犯罪行為となることもありますのでご注意ください。ご本人が判断能力を失っている場合、成年後見制度を利用しなければ、ご本人の口座から預貯金を引き出すなどの取引はできなくなってしまいます。

 なお、一般的に、成年後見等申立ての手続きの準備を開始してから、成年後見制度の利用が始まるまで数か月から半年程度の時間が必要になります。ぜひ、ご本人が能力を失う前に専門家にご相談いただき、早めに必要な準備を進めて頂ければと考えています。

Q3 本人は精神の障がい/知的障がいにより自分の意思を示すことができません。この度、本人の親が亡くなり、遺産分割の必要が生じました。本人には、法定相続分に応じた預貯金を渡す予定です。このような場合も成年後見人の選任は必要なのでしょうか?

 成年後見人(保佐人・補助人)が必要になるかどうかは、ご本人の能力によって決まります。ご本人が自分の意思を示すことができない状態となっている場合、遺産分割の結果がご本人の利益になるか否かを問わず、遺産分割を行うためには本人について成年後見人(又は保佐人・補助人)の選任が必要となります。判断能力を失っているご本人の参加した遺産分割協議は無効となりますし、判断能力が不十分なご本人が参加した遺産分割協議は取り消されることがあります。また、そのような状況では、不動産の移転登記等の手続も進めることができなくなりますのでご注意ください。

Q4 すでに本人の能力が低下しているのですが、今から「民事信託」や「財産管理契約」を利用することはできますか?また、「任意後見契約」を結ぶことはできますか?

 「民事信託」「財産管理契約」「日常生活自立支援事業」「任意後見契約」はいずれも「契約」です。これらの契約を成立させるためには、ご本人に契約を理解することのできる能力がなければなりません。ご本人の能力が一定程度低下していたとしても契約の内容を理解できる能力が残っていれば契約を結ぶことはできますが、複雑な契約を結ぶことは難しいかもしれません。ある契約を結ぶことができるかどうかは、ご本人の能力と契約内容の複雑さから、個別に検討するしかありません。なお、「日常生活自立支援事業」は社会福祉協議会がサービス利用の可否を判断することとなりますので、同協議会が設けた基準に従って判断されることとなります。

 すでにご本人の能力が相当程度低下している場合には、成年後見制度を利用するほかありません。この場合も、ご本人が制度の意味を理解できる状態であれば、ご本人が自ら、自分自身のために成年後見等申立を行うことができますが、これも難しい場合、第三者(ご家族や市町村長等)による申し立てを選択することとなります。

Q5 成年後見人が被後見人の財産を横領したというニュースを聞きます。成年後見性を信用することができないので、家族で財産を管理したいと考えています。

 残念ながら、専門職(弁護士・司法書士・社会福祉士など)の成年後見人等が、被後見人等の財産を横領したというニュースを聞くことがあります。家庭裁判所による監督は年々強化されているのですが、残念ながら、横領の件数は0件にはなっていません。

 しかしながら、成年後見人による横領の件数は、多くはありません。家庭裁判所の報告によると、令和3年1月から同年12月までの後見人等による不正事例の件数は169件、被害総額は約5億3000万円とされています。このうち、専門職後見人等による不正事例は9件、被害額は約7000万円です。

 後見人等による不正は、ニュースなどで大々的に報道されるため、そのインパクトが強いですが、実際の件数は、多いわけではありません。(統計がないので正確な数字はわかりませんが)ご親族による使い込みが問題になるケースの方が、圧倒的に多いです。

 成年後見制度も、残念ながら、絶対に安全な制度であるとまでは言えませんが、ご親族による財産管理の方がより適切だということにはならないでしょう。なお、後見人等による不祥事への対策については、以下のページもご覧ください。

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