別居と離婚の関係~別居のメリット・デメリット~【前編】

離婚を検討する際、別居は重要なステップとなり得ますが、別居すれば必ず離婚が認められるわけではありません
本記事では、別居と離婚の関係、別居のメリット・デメリット、別居前に考慮すべきポイント、婚姻費用の請求方法、経済的困窮時の対応、児童手当の送金先変更などについて詳しく解説します。

📌 1. 別居とは何か?

別居とは、夫婦がそれぞれ違う家で暮らし、共同生活の実態がない状態を指します。夫婦関係が悪化し、一緒に生活することが困難になった場合に選択されることが多く、離婚を視野に入れる場合や、一時的に距離を置いて冷静に考えたいときにも用いられます。

ただし、単身赴任や仕事の都合で別々に暮らしている場合、またはお互いに納得した上であえて別々に暮らしている場合は、ここでいう「別居」には含まれません。

📌 2. 別居が離婚に与える影響

(1)離婚原因としての別居

日本の民法第770条第1項第5号では、「婚姻を継続し難い重大な事由」がある場合に離婚が認められるとされています。別居は、夫婦関係の破綻を示す一つの要素として考慮されます。特に、別居期間が3〜5年程度続き、夫婦関係の修復が見込めない場合、裁判所が離婚を認める可能性が高まります。

(2)別居だけでは離婚が認められない場合

ただし、別居しているという事実だけで離婚が認められるわけではありません。例えば、正当な理由なく一方的に別居を開始した場合、民法第770条第1項第2号に定める「悪意の遺棄」とみなされ、逆に離婚請求が認められない可能性があります。

また、東京高等裁判所平成30年12月5日判決(判例タイムズ1461号126頁)では、7年間の別居期間があったにもかかわらず、夫婦間の話し合いを拒絶していたことなどから、婚姻関係の破綻が認められず、離婚請求が棄却されました。

📌 3. 別居のメリットとデメリット

3-1. メリット

  • 冷却期間の確保:感情的な対立を避け、冷静に関係を見直す時間を持てる
  • 婚姻関係の破綻の証拠:長期間の別居は客観的な証拠になり得る
  • 生活費の請求:婚姻費用の分担を請求可能

3-2. デメリット

  • 経済的負担の増加:住居費や生活費が二重にかかる
  • 証拠収集の困難:不貞や財産状況の把握が難しくなる
  • 関係修復の難しさ:距離ができることで修復が困難になる場合も
  • 法的リスク:悪意の遺棄とみなされる可能性
  • 社会的・法的責任の継続:相続権や扶養義務は残る

📌 4. 婚姻費用の請求

別居中でも、収入の少ない配偶者は、収入の多い配偶者に対して婚姻費用(生活費)の分担を請求することができます。婚姻費用には、夫婦や未成熟子の生活費など、婚姻生活を維持するために必要な一切の費用が含まれます。

請求方法としては、まずは協議で金額の合意を目指し、合意ができない場合は家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停を申し立てるのが一般的です。

婚姻費用の金額は、義務者と権利者それぞれの総収入をもとに、家庭裁判所の「算定表」を参考にして決定されます。また、婚姻費用の支払いが滞った場合には、調停や審判で決定された金額に基づき、強制執行を行うことも可能です。

📌 5. 経済的困窮時の対応

別居後、収入が減少し生活が困難になる場合、以下のような公的支援を受けることができます。

  • 生活保護:最低限度の生活を保障する制度。収入や資産が一定以下の場合に支給
  • 児童扶養手当:ひとり親家庭に対して支給。所得制限あり
  • 住居確保給付金:収入減少などにより家賃相当額を支給

これらの支援を受けるには、市区町村の福祉事務所や子育て支援課などに相談し、必要な手続きを行うことが重要です。

▶️ 【後編】に続く ◀️


「6. 児童手当の送金先変更」から読む

次回は、児童手当の送金先変更、別居前に考慮すべきポイント、支援制度の活用などを詳しく解説します。

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