公正証書遺言の作成手順はどのようになっているのでしょうか?

  「公正証書遺言」は、公証人が遺言者の意思を聞き取って作成する遺言書のことです。

 自分で遺言書の内容の全部を書く「自筆証書遺言」と遺言自体の効力は同じですが、家庭裁判所の「検認」の手続が不要になるほか、形式面で無効になる危険がなくなりますし、内容面も公証人のチェックが入るため、問題が起きる可能性を減らすことができます。そのため、弁護士が遺言作成のご相談を受けた場合には、「公正証書遺言」にしておくことをお勧めすることが多いかと思います。

 ここでは、公正証書遺言の作成の手順について、解説をさせて頂きます。

公正証書遺言作成の流れ

 「公正証書遺言」を作成するための手続は、以下のとおりです。なお、公証人役場によって微妙に運用が異なる場合がありますので、利用する公証人役場が決まったら、まず、電話でお問い合わせいただくことをお勧めします。

① 遺言の内容の検討

 まず、公正証書遺言の文面を検討します。公証人と面談をし文面を作成する場合もあれば、弁護士などの専門職に文面の作成を依頼することも可能です。いずれにせよ法律の専門家が作成に関与しますので、法的に無効な文面になることは、通常はありません。

② 遺言の作成

 文面が完成したら、公証人役場で遺言を作成します。遺言作成の日には、遺言者の実印が必要になります。また、遺言をする方の戸籍謄本、印鑑登録証明書、財産を受け取る方の戸籍謄本・住民票、財産に関する書類(登記事項証明書・通帳など)なども公証人役場に持参する必要があります。

 加えて、法律上、遺言者と公証人以外に2人の証人が必要です。証人に特別な資格は不要ですが、次の方は証人になることができません。

  • 未成年者
  • 推定相続人(法律上、遺言者の相続人になる予定の方)
  • 受遺者(遺言によって遺産を引き継ぐ予定の方)
  • 推定相続人・受遺者の配偶者・直系血族

 通常、遺言を作成する方が証人2名を準備することになります。知人や友人に頼むことが一般的かと思います。免許証などの本人確認のできる書類を持参するよう、お願いをしておいてください。証人の準備が難しい場合、公証役場に照会してもらうことができる場合もありますが、証人1人につき5000円~1万円程度の費用が必要になります。

 証人の役割は、遺言の作成に立ち会い、遺言書に署名・押印をすることです。証人になったことによって、責任が発生することは、通常はありません。遺言の内容について、保証人になることはありません。ただし、後に遺言の効力が問題になった場合、裁判所などから、遺言を作成した日のご本人の状態などを聞かれることがありえないとはいえません。

 遺言作成の日には、遺言者・公証人証人2名の、合計4名立ち合いの下、以下の手続を行っていきます。

  • ご本人の本人確認(ご本人に氏名・生年月日などをお話しいただきます)
  • ご本人のご家族関係の確認
  • ご本人に、なぜ、遺言をするか、話してもらう
  • ご本人に、どの財産を誰に相続させるか、話をしてもらう
  • 公証人が遺言書の内容を読み上げ、ご本人が内容を確認する
  • 内容に問題がなければ、遺言者・証人2名・公証人が、それぞれ、遺言書に署名・押印をする

 以上の流れで、遺言を作成します。作成には、通常30分から1時間程度の時間がかかります。

Q
ご本人は会話ができないのですが、公正証書遺言を作成することは可能ですか?
A

ご本人に判断能力があるのであれば、遺言の作成は可能です。筆談などにより、公証人にご自身の意思を伝えて頂くことになります。事前に公証人にご本人の状態を伝えておいていただけると、手続きがスムーズに進みます。

Q
ご本人が入院中・入所中などで外出することができません。公正証書遺言を作成することはできるのでしょうか?
A

事案によっては公証人がご本人の所まで出張することもあります。事前に公証役場に連絡をし、相談をしてみてください。なお、公証人の出張日当と交通費が発生します。

③ 遺言の保管

 作成された公正証書遺言の原本は、公証役場で保管されます。

 遺言者ご本人には、公正証書遺言の正本と謄本が、各1通、手渡されます。正本はご自身で、謄本は相続人に渡しておくなどされることが多いかと思いますが、保管の方法は自由です。

Q
公正証書遺言を作成したのですが、遺言の作成を撤回したい(取り消したい)と考えています。どうすればよいのでしょうか?
A

一度作成した公正証書遺言をなかったことにすることができる「撤回」という手続きがあります。手続きは遺言を作成した際とほぼ同じで、証人2名の前で、公証人に対し、公正証書を無かったことにしたいと述べ、公正証書に署名押印し作成します。なお、手続きには印鑑登録証明書(3か月以内)と実印が必要になります。

 なお、遺言の内容を変更したい場合は、再度、新しい遺言を作成することになります。新しい遺言は、自費す証書遺言などで作成することも可能です。遺言の内容が抵触する場合、日付の新しい遺言が有効になります。

公正証書遺言作成の費用

 公正証書遺言の作成の際には手数料が必要となります。手数料の額は、作成した公正証書遺言に記載されている遺産の価格によって変わります。

 例えば、遺言の目的である財産の価格が2000万円の場合は手数料が3万4000円、5000万円の場合は4万円、1億円の場合は5万4000円となります。これらは、公証人手数料令という規則で決まっています。また、公正証書遺言の正本や謄本の作成費費用として、1枚につき250円の手数料が必要になります。

 その他の手数料が必要になる場合もあります。詳しくは、公証役場にお問い合わせください。

公正証書遺言を作成されたご本人が亡くなられた後の手続き

 遺言者が公正証書遺言を作成されていた場合、遺言者が亡くなられた後、相続人や受遺者は、公証役場に、遺言公正証書の検索の依頼や謄本(認証のあるコピー)の請求をすることができます。遺言者の生存中はすることはできません。

 遺言公正証書の検索の依頼や謄本の請求は、電話で公証役場に予約をしたうえで、予約日に、遺言者の死亡がわかる書類(除籍謄本など)・請求者の戸籍謄本・身分証明書・印鑑などを持って、公証人役場に行き、申請をします。遺言公正証書の検索はデータでできるため、全国どこの公証役場で申請をしてもよいことになっています。遺言者が遺言を作成した公証役場まで行かなければならないということはありません。なお、電話での公正証書作成の有無などの問い合わせは、通常、対応してもらうことができません。

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