成年後見等申立の際に実施されることのある「鑑定」とはどのような手続きなのでしょうか?

 成年後見等の申立てをすると、家庭裁判所が「鑑定」の手続を実施することがあります。この「鑑定」の手続が行われると「鑑定の予納金」を収める必要が生じ、また、審理期間も伸びることになります。そのため、「鑑定」の有無は、後見等の申立てをする際の関心ごとになります。

 ここでは、この「鑑定」について、解説します。

「鑑定」とはどのような手続きなのか?

① 「鑑定」で何を調べるのか

 裁判所が行う「鑑定」とは「専門性の高い分野について、特別の知識を持つ第三者に意見を求めること」をいいます。成年後見等申立の際に実施される鑑定は、主に以下の目的で実施されます。

  • ご本人について、成年後見制度を利用することが必要かを判断する
  • ご本人ついて「後見」「保佐」「補助」のどの類型に該当するかを判断する

以上の判断を行うためには医学的な判断が必要になります。そのため、家庭裁判所が、申立時に提出された診断書やその他の資料を見ても上記の判断をすることが難しい場合、鑑定により、必要な情報を取得することになります。

② 誰が「鑑定」を行うのか

 先ほどお話をしたとおり、後見等申立の際の鑑定は、医学的な知識を判断するために行われます。そのため、通常、鑑定は医者が行います。

 鑑定は、申立時に提出した診断書を作成した医師に頼む場合と、家庭裁判所が指名をした医師に頼む場合があります。どの医師に鑑定を依頼するかは、家庭裁判所の判断となります。

③ 「鑑定」の費用

 鑑定を行う医師には報酬が支払われます。この報酬は家庭裁判所から医師に支払われますが、家庭裁判所の運用により、鑑定のために必要となる費用は、まず、申立てをした方が、家庭裁判所に「予納」という形で支払うことになっています。そのため、鑑定を行うかどうかで、後見等申立てに要する費用が大きく変わることになります(鑑定がない場合、申立てに要する費用は、弁護士・司法書士に依頼をしない場合は、数千円~数万円程度ですが、鑑定を実施すると10万円単位の費用が必要になることがあります。)。

 鑑定の費用は、一般的には、5万円から20万円となっています。担当する医師によって思によって費用が異なります。なお、統計上は、東京家庭裁判所のみ、他の家庭裁判所に比べて鑑定費用が高額になる傾向にあります。統計上、東京家庭裁判所以外の家庭裁判所では、鑑定費用が10万円を超えるケースは、多くありません。

 なお、鑑定に要した費用は、最終的には「申立人」か「ご本人」かのいずれかの負担となります。どちらの負担とするかは、家庭裁判所が判断します。成年後見等開始の審判の際に、家庭裁判所が「申立費用は本人の負担とする」とした場合に限り、申立人は、ご本人(の後見人等)に対し、鑑定のために予納した費用の返還を求めることができます。この決定がない場合は、鑑定に要した費用は、申立人の負担となります。

④ 「鑑定」に要する時間

 鑑定に要する期間は、事案によって様々です。一般的に、主治医の方による鑑定が行われる場合は、それほど時間を要しないことが多いですが、主治医の方以外が鑑定を行う場合、何度か通院が必要になる場合もあります。統計は、以下のリンク先のとおりです。いずれにせよ、鑑定を実施しない場合に比べて審理に要する期間は長くなります。

「鑑定」が実施される割合はどの程度なのか?

① 原則・・・家事事件手続法の規定

家事事件手続法119条1項(精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取)

 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の精神の状況につき鑑定をしなければ、後見開始の審判をすることができない。ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。

 家事事件手続法は、後見開始及び保佐開始の審判をする場合には、鑑定を行うことが原則であると規定しています。一方、補助開始と任意後見監督人の選任については、鑑定の実施が原則であるとの条文はありません。

② 実際の運用はどうなっているのか

 家事事件手続法の規定は①のとおりですが、実際の運用は、この規定とは異なっています。現在の家庭裁判所の運用は、おおむね、以下のとおりとなっています。

  • 後見申立て、保佐申立て、補助申立て、任意後見監督人選任申立てのいずれの類型についても、「鑑定」を実施するかどうかの基準に違いはない。
  • いずれの類型についても、鑑定を行うケースの方が少なく、特に鑑定を行う必要がある場合に限って鑑定を行うという運用になっている。

 鑑定を実施する割合は家庭裁判所によって異なりますが、どの家庭裁判所もそれほど高くはありません。後見等申立事件における鑑定を実施したケースの割合は、令和3年の全国の統計では5.4%、令和2年の東京家庭裁判所(支部を含む)の統計では12.7%となっています。このように、実際の運用では、鑑定を行うケースの方が少なくなっています。

「鑑定」の実施を回避する方法はあるのか?

 鑑定を実施するかどうかは家庭裁判所が判断をします。家庭裁判所の判断の基準は、一般論としては「後見等の開始やどの類型に該当するかの判断をするにあたって必要があるか」ですが、具体的には、以下のようなケースでは、鑑定を実施される可能性が高くなるとされています。

  • 家庭裁判所書式の診断書が提出されていないケース。家庭裁判所書式の診断書が提出されていない場合、家庭裁判所がご本人の状況を把握することは難しくなるため、鑑定を実施する必要が高くなります。
  • 家庭裁判所書式の診断書は提出されているが、中身の記載が薄いケース。各種テストの結果などが記載されていない場合、家庭裁判所が、その診断書の記載を信じてよいのか判断できないため、鑑定を実施する必要が高くなります。
  • 提出された診断書に記載されている各種テストの結果などと、申立ての趣旨に記載された「後見」「保佐」「補助」の類型に齟齬があるケース。例えば、ご本人についてほとんど判断能力がないという検査結果が出ているにもかかわらず、「補助申立」が選択されている場合、本当にその類型に該当するのか審査する必要があるため、鑑定を実施する必要が高くなります。
  • 成年後見制度の利用について、申立人以外の親族から意見が出ているケース。申立人以外の親族から「成年後見制度の利用は不要である」との意見が出ている場合、その意見が正しいか判断する必要があるため、鑑定を実施する必要が高くなります。ただし、親族からの意見に理由がありそうな場合に限られます。
  • ご本人が成年後見制度の利用に反対をしている場合。このようなケースでは、ご本人の能力をより正確に把握する必要があるため、鑑定が実施されることがあります。

家庭裁判所は、以上の事情などを考慮して、鑑定の実施の有無を判断します。家庭裁判所による鑑定実施の決定について、争うことはできません。

 なお、事案によっては、鑑定までは実施せず、再度診断書を取得し直すなどの指示を受ける場合もあります。

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