離婚時の自宅の財産分与~住宅ローンの有無による対応と注意点~

📌 はじめに

離婚に際して、自宅不動産の取り扱いは重要な問題の一つです。
特に、住宅ローンの有無や残債の状況によって、財産分与の方法や注意点が大きく異なります。
本記事では、住宅ローンがない場合とある場合(オーバーローン・アンダーローン)に分けて、自宅の財産分与の方法と留意点を詳しく解説します。

📌 1. 住宅ローンがない場合の財産分与

1-1. 自宅を売却する場合

住宅ローンが完済されている場合自宅を売却して得られた売却益を夫婦で分け合う方法があります。
原則として、売却益は等しい割合で分配されます。

  • 売却価格: 3,000万円
  • 売却費用(仲介手数料等): 100万円
  • 純売却益: 2,900万円
  • 夫婦で等分: 1,450万円ずつ

1-2. どちらかが自宅を取得する場合

一方が自宅を取得する場合、取得者は自宅の評価額の半額を他方に支払う必要があります。
これは、固定資産である自宅を取得する代わりに、他方に対して現金などの流動資産で補填する形となります。

  • 自宅評価額: 3,000万円
  • 取得者が他方に支払う金額: 1,500万円

この金額を用意できない場合売却して現金化する方法が検討されます。

📌 2. 住宅ローンが残っている場合の財産分与

住宅ローンが残っている場合、まず自宅の評価額とローン残高を比較し、オーバーローンかアンダーローンかを判断します。

2-1. オーバーローンの場合

2-1-1. 財産全体で通算する方法

夫婦の全財産(プラスの財産とマイナスの財産)を合算し、総額を算出してから分与する方法です。
これが実務上、一般的な取り扱いとされています。

  • 自宅評価額: 2,000万円
  • 住宅ローン残高: 2,500万円(オーバーローン500万円)
  • 預貯金: 1,000万円
  • 総財産: 1,000万円 – 500万円 = 500万円
  • 夫婦で等分: 250万円ずつ

2-1-2. 自宅を清算対象から除外する方法

自宅を財産分与の対象から外し他の財産のみで分与を行う方法です。
ただし、この方法は例外的です。

2-2. アンダーローンの場合

2-2-1. 自宅を売却する場合

自宅を売却し、得られた売却益から住宅ローンを返済し、残った金額を夫婦で分け合います

  • 自宅評価額: 3,000万円
  • 住宅ローン残高: 1,000万円
  • 売却益: 2,000万円
  • 夫婦で等分: 1,000万円ずつ

2-2-2. どちらかが自宅を取得する場合

取得者は、自宅の評価額から住宅ローン残高を差し引いた純資産価値の半額を他方に支払います。

  • 自宅評価額: 3,000万円
  • 住宅ローン残高: 1,000万円
  • 純資産価値: 2,000万円
  • 取得者が他方に支払う金額: 1,000万円

📌 3. 自宅の取得と住宅ローンの名義変更

3-1. 住宅ローンの名義変更

住宅ローンの名義を変更するには、金融機関の承諾が必要です。
承諾が得られない場合、名義変更はできません。通常、承諾は得られません

3-2. 新たな住宅ローンの組み直し

取得者が新たに住宅ローンを組み直し既存のローンを一括返済する方法です。
ただし、取得者の収入や信用状況によっては、ローンの審査が通らない可能性もあります。

📌 4. 特有財産と財産分与

婚姻前に取得した財産や、相続・贈与によって得た財産は「特有財産」とされ、原則として財産分与の対象外です。
ただし、婚姻期間中に夫婦で協力して維持・管理していた場合、共有財産とみなされることもあります。

  • 婚姻前に購入した自宅を、婚姻期間中に夫婦でリフォームし、価値が上がった場合、その増加分は共有財産とされる可能性があります。
  • 不動産購入時に頭金を親族から贈与してもらったとき、不動産取得価格に対する特有財産割合を算出して処理します。

📌 5. 財産分与の手続きと注意点

5-1. 協議による合意

夫婦間で話し合い、財産分与の内容を合意する方法です。
合意内容は書面に残し、公正証書にすることで、後のトラブルを防ぐことができます。

5-2. 調停・審判による解決

協議が難航した場合、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。
調停でも合意に至らない場合、審判に移行し、裁判所が判断を下します。

5-3. 財産分与請求の期限

財産分与の請求は、離婚成立から2年以内に行う必要があります(民法768条2項)。
この期間を過ぎると、原則として請求できなくなります。なお、多くのケースでは離婚調停の中で財産分与の議論も同時に行います。

📌 6. まとめ

自宅の財産分与は、住宅ローンの有無や残債の状況によって対応が大きく異なります。
オーバーローンの場合は、財産全体で通算する方法が一般的であり、アンダーローンの場合は、自宅の取得や売却によって分与が行われます。

弊所では離婚時の自宅の財産分与についてのご相談を随時受け付けております。
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