「面会交流」とはどのようなものなのでしょうか?面会交流を求める方法について教えてください。

 「面会交流」とは、別居中や離婚後に、子どもを監護・養育していない側の親が子どもと面会・電話・手紙のやり取りなどで交流することをいいます。以前は「面接交渉」とも呼ばれていました。

 近年、家庭裁判所は、直接の面会交流を積極的に推進する方向に動いてきたといわれていますが、最近は、新型コロナウイルス流行の影響もあり、ウェブ面談など、直接会わない「間接交流」といわれる交流方法が増えつつあります。

 このページでは、面会交流について、基本的な解説を行います。

面会交流は誰の権利なのか?

 面会交流については、「親の権利」と考える見解、「子の権利」と考える見解など、誰の権利なのかという議論があります。この点について、家庭裁判所は(明示はしませんが)「子の権利」であると考え、「子の福祉に慎重に配慮して」面会交流を行うよう、求めてきます。調停・審判の条項にも「子の福祉に慎重に配慮して面会交流を実施する」などの文言が入れられます。そのため、(その判断は難しいですが)子が拒否をしている場合には、面会交流は認められない傾向にあります。

  • 面会交流は、一般的に、「子の権利」と考えられており、「子の福祉に慎重に配慮して」実施することが求められている。

どのような場合に面会交流が認められるのか?

 面会交流についても、父母で話し合いができる場合はその合意で決めることになりますが、話し合いで決めることができない場合は家庭裁判所の調停を利用することができます。また、調停で話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所が「審判」で「面会交流を実施するか」「面会交流を実施する場合、どのように実施するか」を決めることになります。

 それでは、家庭裁判所は、どのような場合に面会交流を認めるのでしょうか?

 まず、家庭裁判所は、原則として面会交流を認める方向で考え、面会交流を認めることが相当でない場合に面会交流を認めないと判断する傾向にあるといわれます(ただし、最近は、原則面会交流実施という考え方は変わりつつあるとの指摘もあります。)。そして、面会交流を認めないのは、一般的に以下のような事情がある場合とされています。

① 非監護親(面会を求める側の親)が子を連れ去るおそれがある場合
② 非監護親が子を虐待するおそれがある場合
③ 非監護親の監護親(子と同居している親)に対する暴力等がある場合

 ③について解説をすると、児童虐待防止法は「児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動」を虐待の一つとしており(児童虐待防止法2条4号)、子に対して暴力をふるう等をしていなくとも、子が見ている前で親に対して暴力をふるう行為が「虐待」とされています(「面前DV」と呼ばれます。)。そのため、監護親に対する暴力がある場合も、上記の②と同様の判断がなされうることになります。ただし、③については、第三者が面会交流に立ち会うことにより問題を解決できる場合などは、面会交流を認めるという判断もあり得ます。また、後述するような「間接的な面会交流」であれば認められるという判断もあり得ます。

  • 家庭裁判所は、一般的に、面会交流を認める傾向にある(ただし、運用は変わりつつあるとも指摘されている)。
  • 非監護親が子を連れ去るおそれがある場合、子を虐待するおそれがある場合などは面会交流が制限され得る。
Q
養育費を支払ってもらっていないことを理由に面会交流を拒否できますか?
A

家庭裁判所は面会交流と養育費は別物であると考えているため、通常、養育費の支払いがないから面会交流を実施しなくてよいとは判断しません。もちろん、面会交流をきっかけとして養育費の請求を行うことは可能です。非監護親が面会交流の調停を、監護親が養育費の調停を申し立てた場合、両方の調停を同時に行う場合もあります。養育費についての解説は、以下のリンク先をご覧ください。

面会交流の方法

面会交流の方法は、
① 親と子が直接会う「直接交流」が一般的ですが、最近は、
② 電話、手紙、写真のやり取り、メール、ウェブ(Zoomなど)で交流を行う「間接交流」も増えています。

 特に新型コロナウイルスの流行後は、感染予防の観点やウェブ会議の利用が進んだこともあり、ウェブ上で面会交流を実施するケースが増えているように感じます。家庭裁判所の調停においても、直接の交流が難しいケースでもあっても間接の交流を実施する方向に促すケースが多くなっています家庭裁判所は、従来は、「1か月に1回、直接の面会交流を実施する」という方向に持っていこうとする事案が多かったように思いますが、最近は、間接交流を含めた、柔軟な解決を目指す方向に変わってきているように感じます。

 面会交流の調停では、「面会交流に応じるかどうか」という点のみではなく、「直接交流は可能か」、「直接交流が可能ではない場合、間接交流は可能か」、「間接交流を行う場合、その方法は手紙か、電話か、ウェブか」等、その方法についても検討をしていくことになります。面会交流を求める側も、求められる側も、間接交流の可能性を頭に入れて調停に臨むことが必要になっています。

  • 面会交流の方法は、従来は、親と子が直接会う「直接交流」が主流であったが、最近は手紙・電話・写真・ウェブなどによる「間接交流」が増えつつある。
  • 面会交流の方法について争いがある場合は、家庭裁判所の「面会交流の調停」を利用して調整をすることができる。

面会交流の調停・審判の流れ

 面会交流の調停では、裁判所は、まず、父母から事情を聴取します。その後、事案に応じ、家庭裁判所調査官が子から事情を聴取したり、裁判所の庁舎内で試行的面会交流(裁判所の用意した部屋で面会交流を実施してもらい、その様子を調査官が観察する手続。)が実施されることもあります。なお、法律上、子が15歳以上の場合は、必ず子の意見を聞かなければなりません(家事事件手続法152条2項)。

 面会交流の調停では、何回か期日を重ね、徐々に面会交流を実施できるように環境を調整していくという流れで手続きが進んでいくことが一般的です。まずは手紙の面会交流から開始し、徐々に手紙・ウェブでの面会交流を実施してみてその状況を確認していくなど、少しずつ進めていくというケースもあります。

 何度調停期日を重ねても協議がまとまらない場合、「審判」により裁判所が面会交流について決めることになりますが、家庭裁判所は、極力審判ではなく調停で解決するよう、調停の回数を重ねていく傾向にあるように思います。

親(父母)以外も面会交流を求めることができるのか?

 面会交流について範囲を規定した法律はありませんが、一般的に、家庭裁判所は、祖父母との面会交流など、親以外との面会交流を認める審判は認めない傾向にあるといわれています。ただし、実際には、子と祖父母などとの面会を実施しているようなケースも多くあります。審判になると難しいかもしれませんが、調停の中で話し合うことは可能ですので、祖父母などとの面会交流を求める場合には、調停の中で調整することが重要になります。

面会交流を強制することはできるのか?

 まず、家庭裁判所で取り決めた面会交流が約束通りに実施されない場合、家庭裁判所に、裁判所が相手方に対して履行するように促す「履行勧告」や「履行命令」を出してもらうことは可能です。ただし、これらの「勧告」や「命令」に強制力はありません。

 次に、家庭裁判所で取り決めた面会交流が約束通りに実施されない場合、裁判所が面会交流を強制できるのかという問題があります。この点について、まず、裁判所が子を無理やり相手に合わせるなどする「直接強制」はできないとされています。問題となるのは「1回面会交流を実施しなかった場合に〇〇円を支払え」などと命令する「間接強制」をすることができるのか、という点です。なお、強制執行についての一般的な説明は、以下のリンク先をご覧ください。

 従来、裁判所の判断は分かれていましたが、最高裁判所が以下の判決をしたことで、一定の場合に限り、間接強制が可能という結論に落ち着いたとされています。

【最高裁判所平成25年3月28日決定】
 監護親に対し、非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判は、少なくとも、監護親が、引渡場所において非監護親に対して子を引き渡し、非監護親と子との面会交流の間、これを妨害しないなどの給付を内容とするものが一般であり、そのような給付については、性質上、間接強制をすることができないものではない。したがって、監護親に対し非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判において、面会交流の日時又は頻度、各回の面会交流時間の長さ、子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる場合は、上記審判に基づき監護親に対し間接強制決定をすることができると解するのが相当である。

 上記の判決によると、面会交流の条件が具体的に決められている場合に限り、間接強制がありうるということになります。ただ、一般的に、家庭裁判所は、面会交流については「面会交流は、月1回程度、子の福祉に慎重に配慮をして実施する。」といったような条項を作成する傾向にあり、このような条項では間接強制はできないと考えられますので、間接強制を申し立てる可能性のある事案では、条項作成の時点で間接強制が可能となるよう、相当詳細な条件を詰めておくことが必要になる点に注意が必要です。

  • 家庭裁判所で取り決めた面会交流が約束通りに実施されない場合、面会交流の条件が具体的に決められている場合に限り、「間接強制」の手続を利用することができるとされている。

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