離婚や別居の際に利用することが考えられる「社会保障」にはどのようなものがあるのでしょうか?児童手当・児童扶養手当・生活保護など

 離婚や別居の際、「生活費をどのように確保するか」は大きな問題かと思います。特に未成熟の子どもの監護・養育を担当する側の場合、子の生活費や学費などの支出について頭を悩ませておられる方も多いでしょう。

 法律は、夫婦や未成熟の子の生活費の問題について、結婚期間中の夫婦間や未成熟子への扶養について「婚姻費用分担請求」、離婚後や未婚場合の未成熟子への扶養について「養育費」の制度を設けています(詳しくは以下のリンク先をご覧ください。)。ただし、支払をしてもらえない場合は家庭裁判所の調停や審判を利用するなどの手間が必要になりますし、相手方の収入・資産の状況などによっては支払ってもらうことができない場合もあり得ます。そのため、別居や離婚の際には「婚姻費用分担請求」や「養育費」の検討とともに「社会保障」の活用についても考えることが重要になります。

児童手当

① 「児童手当」とは

 児童手当は、「児童手当法」に基づく、国による支給制度です。事務の取り扱いは各市区町村が行っていますが、日本全国どこでも支給されます。概要は以下のとおりです。

  • 児童手当は、中学校卒業(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)までの児童を養育される方に給付されます。
  • 支給は年に4回で、毎年6月、10月、2月に、前月分までの4か月分の手当をまとめて支給されます。例えば、6月の支給日には、2~5月分の手当が支給されます。例外として、公務員については、勤務先より給料と一緒に支給されます。
  • 子1人あたりの支給金額は、以下のとおりです。
    3歳未満 1万5000円
    3歳以上小学校卒業まで 1万円(第3子以降は1万5000円)
    中学生 1万円
  • 世帯の収入が高額な場合は、給付を受けられないことがあります。所得の基準などの制度は改定されることがありますので、詳しくは内閣府・各市区町村のウェブサイトや各市区町村の子育て支援課などの窓口などでご確認ください。

 その他の注意事項は以下のとおりです。

  • 支給の対象は、原則として、日本国内に住んでいる児童です。父母が海外に居住をしていて児童が日本国内に居住している場合、父母が指定をすれば、日本国内でその児童を養育している方に支給されます。
  • 児童が施設に入所している場合や里親などに委託されている場合は、原則として、その施設の設置者や里親などに支給されます。
  • 児童を養育している未成年後見人がいる場合は、その未成年後見人に支給されます。

② 誰に支給されるのか?

 児童手当の支給先は「対象となる児童を養育している保護者」とされていますが、両親が結婚をしている場合、児童の両親のうち、児童の生計を維持する程度の高い方に給付されることになります。つまり、通常は、夫婦のどちらか所得の大きい方に給付されます。

 このような運用がありますので、夫婦が別居をしていて、所得の低い方が児童を養育している場合、実際に児童を養育している側に児童手当が渡されないという問題が生じます。この点の問題に対応するため、内閣府が「児童手当Q&A(配偶者と別居されている場合の取り扱いについて)」を公表し、一定の場合には、所得にかかわらず、実際に児童を養育している方に給付が行われるようになりました。実際の運用としては、以下のいずれかの書面を市区町村の窓口に提出することにより、児童手当の支給先を変更してもらうことができます。

  • 離婚の協議を申し入れる内容の内容証明郵便の謄本(郵便の控え)
  • 家庭裁判所の離婚調停の事件係属証明書(離婚調停の申立てをした場合に家庭裁判所に申請をすると取得できます)
  • 家庭裁判所から送られてきた離婚調停の期日呼出状(離婚調停の相手方になった場合)
  • 弁護士に依頼をして離婚の協議をしていることを証明する弁護士作成の報告書

各市区町村役場によって運用が若干異なることもありますが、上記のような書類を提出したにもかかわらず児童手当の振込先の変更を認めないという運用は誤っています。誤った説明を受けられた場合、弁護士へ相談されることをお勧めします。

児童扶養手当

 児童扶養手当は、「児童扶養手当法」に基づく国による給付制度で、こちらも事務の取り扱いは各市町村が行いますが、国の制度です。

 児童扶養手当の主な説明は以下のとおりですが、原則として離婚が成立しなければ給付されないことに注意が必要です。

  • 離婚・死別・両親の一方の障がい(障害年金1級程度の障がい)・両親の一方による1年以上の遺棄・両親の一方の刑事施設への拘禁・両親の一方にDV保護命令が発令された場合などに支給されます。単に「両親が別居している」というだけでは支給されませんの、注意が必要です。
  • 支給の対象となるのは、18歳の誕生日後の最初の3月31日までの児童です。ただし、児童が心身に障害年金2級以上の障がいをお持ちの場合は、20歳に達するまで支給されます。
  • 支給は、2か月に1回、奇数月に前月までの2か月分が支給されます。支給を受けるためには、市区町村の窓口への申請が必要です。
  • 児童扶養手当の受給額は、毎年改定されます。また、親の所得や子の人数によっても支給額が異なります。詳しい支給額は市区町村の子育て支援課などの窓口にお問い合わせ下さい。
  • 児童扶養手当についても所得制限があり、親の所得が一定を超えると不支給になります。
  • 養育費を受領していたとしても、受け取った養育費を計算に入れても所得制限の範囲内であれば、児童扶養手当を請求することができます。

 なお、児童扶養手当の制度は、今後も改正の可能性がありますので、最新の情報は、厚生労働省・内閣府・各市区町村などのウェブサイトをご確認いただくか、各市区町村の窓口にお問い合わせ下さい。

その他の制度

 児童手当、児童扶養手当以外にも、以下のような制度を利用することが考えられます。なお、お住いの市区町村によっては、独自の制度を設けていることもありますので、各市区町村の子育て支援課などに問い合わせをされることをお勧めします。

① ひとり親家庭等医療費助成制度

 ひとり親とその子(18歳の誕生日後の最初の3月31日まで)について、医療保険の対象となる医療費や薬剤費などの自己負担分を市区町村が支援するという制度です。国民健康保険や健康保険など各種医療保険の自己負担分から一部負担金(市区町村によって異なります。)を差し引いた額の助成を受けることができます。両親のいない児童などを養育している養育者の対象になります。なお、市区町村により、所得制限などの要件が定められていますので、詳しくは市区町村の窓口にお尋ねください。

② 就業支援に関する制度

 ひとり親の方が看護師・保育士・介護福祉士・理学療法士・作業療法士・調理師などの資格取得のための通学中の生活費の一部を支援する「高等職業訓練促進給付金」、専門的技能取得のための学校や口座の受講料の一部を給付する「自立支援教育訓練給付金」などの制度が用意されています。全国のハローワークなどにお問い合わせ下さい。

③ 住居支援に関する制度

 各市町村により、公営住宅への優先入居の制度や経済的な支援の制度が設置されていることがあります。詳しくは、各市区町村の窓口にお問い合わせ下さい。

④ 教育支援に関する制度

 「教育の無償化」に向けて、様々な制度が改正されています。それぞれの制度や市区町村によって支給要件が異なっていますので、市区町村の窓口で問い合わせるなどして、支給申請を失念することがないよう、ご注意ください。また、制度の改正も頻繁に行われていますので、適宜、ご確認ください。

 また、各高校や各大学などが独自の奨学金の制度を持っていることもあります。進学時の説明会や進学後のガイダンスなどでよく確認されることをお勧めします。

⑤ 養育費確保のための支援事業

 最近、各市区町村において、養育費の請求を行う方への弁護士費用の助成や公正証書作成費用の助成などの制度がつくられつつあります。制度が整備されている市区町村の数はまだ多くないですが、お住いの市区町村に制度が整備されている可能性もありますので、各市区町村の窓口でご確認下さい。

生活保護の利用

 これまでお話ししてきたように様々な支援制度が準備されていますが、そもそも収入が一切ないなどして、生活が厳しいという方もいらっしゃると思います。婚姻費用や養育費の請求も受け取ることができなかったり、受け取ることのできる金額が少ないなどの理由で、生活が苦しい方もいらっしゃるでしょう。このような場合、生活保護の受給も検討することが必要になります。生活保護についての重要な点は以下のとおりです。

  • 生活保護の申請は「権利」です。インターネット上などには誤った情報もあふれていますが、申請を躊躇する必要はありません。
  • 生活保護の受給の可否を判断する収入の額のは世帯単位で判断されます。結婚をされている場合、通常は夫婦両名の収入を見て判断することになりますが、DVで避難をされているようなケースでは、別世帯と認定され、離婚が成立していなくとも夫婦の一方(及びその親と同居をしている子)のみが生活保護を受給できる場合もあります。
  • パート収入などがあったとしても、その収入が最低生活費の基準を下回っている場合には生活保護を受給することができます。この場合、支給される生活保護費は、最低生活費からパート収入などの金額を引いた額(一部控除があります。)になります。
  • 生活保護の受給を受けることができれば、月々の最低生活費の給付の他、必要と認められた場合は、転居に要する費用なども受給することができます。
  • 最低生活費の金額は、地域によって異なります。詳しくは、各市区町村の「福祉事務所」にお問い合わせ下さい。

 生活保護の申請は、各市区町村の「福祉事務所」に申請をします。しかしながら、申請をしても「働けるのではないか」「誰かから援助をしてもらえばよいのではないか」などと言われ、追い返されるという事例も、(最近は減っているとは言われていますが)残念ながら存在します。申請を受け付けないという運用は違法なのですが、「水際作戦」が行われるケースもあります。このような事案では、弁護士などが生活保護の申請に同行するということも考えられます。事案によっては、弁護士費用について日本弁護士会連合会の援助制度を利用することができる場合もありますので、ぜひ、ご相談ください。

 なお、生活保護を受給されている方の場合、離婚の調停・裁判や養育費の請求などに関する弁護士費用について、法テラスの民事法律扶助制度の返済を猶予・免除してもらうことができることもあります。詳しくは、弁護士や法テラスにお問い合わせ下さい。

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