「成年後見中核機関」とはどのような組織なのでしょうか?何を相談できるのでしょうか?
最近、各地の市町村で「成年後見センター」、「権利擁護センター」、「成年後見中核機関」という名称の組織が設置されつつあります(名称は地域によって様々です。)。これらの組織はどのような組織なのか、成年後見制度について、これらの組織にどのような相談をすることができるのか、解説をさせて頂きます。
「成年後見中核機関」の役割はどのようなものなのか?
平成28年5月、「成年後見制度の利用の促進に関する法律」が施行され、各市町村は、成年後見制度の利用の促進に関する政策について基本的な計画を定め、中核となる機関の設立など必要な措置を講じるよう努めることが求められるようになりました。この法律に基づき、各市町村において、「成年後見中核機関」の設立が進められています。「権利擁護センター」などの名称で設置している市区町村が多いですが、名称は地域によって様々です。市町村が直営で運営している場合と、社会福祉協議会などに委託をしている場合があります。なお、2022年の時点では、未設置の市町村もあります。
厚生労働省によると、「成年後見中核機関」の役割は、以下のように整理されています。
① 司令塔機能
地域の権利擁護支援・成年後見制度利用促進機能の強化に向けて、全体構想の設計とその実現に向けた進捗管理・コーディネートなどをを行う機能。
② 事務局機能
地域において、成年後見の利用促進に関する「協議会」を設置する際の事務局機能。「協議会」では、後見人等へのバックアップ、困難ケースへの対応、各種専門職間の連携、家庭裁判所との情報交換などを行うことが期待されている。
③ 進行管理機能
その地域において、権利擁護支援の方針についての検討・専門的判断をすることができているか、ご本人にふさわしい制度の利用に向けた検討・専門的判断ができているか、成年後見人等のモニタリング・バックアップの検討・専門的判断ができているかについて、中核機関がその進行状況を管理することが求められている。
このうち、どの機能を、どこまでになっているかは、地域によって異なります。
「成年後見中核機関」に成年後見制度の利用についての相談をすることはできるのか
成年後見制度の利用を検討されている皆様にとって気になるのは、「成年後見中核機関(権利擁護センターなど)」に成年後見制度の利用についての相談をしてよいのか、どこまで対応をしてくれるのか、という点かと思います。この点についての回答は「各市町村によって異なる。」としか言いようがないのですが、これでは答えにならないので、よくあるな中核機関を想定してお答えをさせて頂きます。
多くの中核機関では、上記の「司令塔機能」や「事務局機能」の一環として、成年後見制度に関する相談窓口を設けています。その窓口で一定の相談を受ける中核機関もあれば、専門職(弁護士・司法書士・社会福祉士など)や家庭裁判所への相談を取り次ぐ場合もあります。「専門職による相談会」などのイベントを開催している中核機関もあります。このように、多くの中核機関では、成年後見制度の利用に関する相談について、何らかの対応をしていることが一般的です。「成年後見制度について、いきなり弁護士などの専門職や家庭裁判所に相談することはハードルが高い」とお考えの方は、まず、お住いの市町村の「権利擁護センター」などに連絡をしていただければと思います。また、地域の広報誌や市町村のウェブサイトなどでイベントの告知がされていることもあるかと思います。これらを見てイベントにご参加いただく方法もあります。
なお、地域内に「成年後見中核機関」があるからと言って、「必ずそこに相談をしなければならない」という決まりはありません。弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職や家庭裁判所などに、直接、相談することも可能です。最も相談しやすい場所にご相談いただければと思います。最近は、各機関が連携していることが一般的になってきていますので、より適切な相談場所があれば、そちらにつなぐということもよく行われています。
「成年後見中核機関」では対応できないこと
「成年後見中核機関」は、成年後見申立ての代理人になることはできません。申立ての資料を代わりに作成してくれたり収集してくれたりすることもありません。中核機関の窓口で成年後見等申立の手続の案内を行っていることもありますが、これはあくまで「案内」であって、ご相談者(申立人)に代わって申立ての準備をしてくれるということはありません。申立ての代理業務は、弁護士や司法書士などの独占業務であり、「成年後見中核機関」が対応することはできません(なお、対家庭裁判所での関係では、弁護士は「代理人」として申立人に代わって申立てを行う、司法書士は書類作成の代行を行うという違いがあります。)。
また、「成年後見中核機関」は、成年後見人等に就任した方へのアドバイスなどを行うことはできますが、成年後見人等に代わって各種手続きを進めることはできません。裁判対応であれば弁護士、不動産の登記のことであれば司法書士、税金の申告については税理士など、各専門職に依頼をする必要があります。
多くの「成年後見中核機関」では、各専門職とつながりを持っていますので、「○○をお願いしたい。」と申し出れば、適切な専門職へつないでくれるケースが多いのではないかと思います。そのため、「成年後見中核機関」への相談を躊躇する必要はありません。相談をすれば、適切なアドバイスをもらうことができるでしょう。ただし、それぞれに役割分担があり、「できること」と「できないこと」がある点には注意が必要です。お悩みの内容にもよりますが、「成年後見中核機関」に相談し、そこから必要な場所につないでもらうというイメージを持っておいていただければと思います。
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