本人以外が債務整理の相談に行くことはできるのでしょうか?
時々、ご本人のご家族・友人・知人から「〇〇(家族・友人・知人など)が借金で苦しんでいる。本人に代わって相談に行けないか。」というお問い合わせを受けることがあります。
このようなお問い合わせを受けたとき、一般に弁護士がどのように回答するか、ご説明します。
原則・・・ご本人に相談に来ていただくよう、お願いします
債務整理の問題を解決できるのはご本人だけですし、ご本人が一番事情をよく知っておられるはずなので、ご本人が、直接、専門家に相談するよう、お願いします。弁護士は、ご本人以外の方から依頼を受けてご本人のために債務整理の手続を行うことはできません。ご本人から依頼をしていただく必要があります。
なお、ご本人と一緒に弁護士事務所にお越しになる場合、原則として、ご本人の承諾があれば相談への同席を可能とする弁護士が多いかと思います。ただし、そのような場合であっても相談の内容によっては、弁護士の判断で席を外していただくこともあり得ますのでご了承ください。
例外①・・・ご相談者が(連帯)保証人になられている場合・債権者から直接の請求を受けている場合
ここからは、例外として、ご本人ではなく、第三者のみでの相談が可能なケースについてご紹介します。
まず、1つ目は(連帯)保証人になられている場合・債権者から直接の請求を受けている場合です。
(連帯)保証人となられている方は、主債務者が支払いを滞らせた場合に、主債務者に代わって支払いを行う義務を負います。このような(連帯)保証人となられている方については、(連帯)保証人として債権者からの請求にどのように対応をするかという問題が生じます。このような問題に対し、(連帯)保証人独自の問題への対応という形で相談をお受けすることとなります。
また、主債務者の家族・親族であっても、(連帯)保証人や連帯債務者となっていないのであれば、支払いの義務は生じませんが、いわゆる「ヤミ金」などから(連帯)保証人や連帯債務者ではない方に請求が行われているというケースがあります。これらについても請求を受けている方からの相談として対応をすることが可能です。
なお、このようなケースは、あくまで請求を受けている方の対応についてアドバイスをさせて頂くものですので、主債務者ご本人については、別途、専門家に相談をしていただく必要があります。
(連帯)保証人や連帯債務者になっていない限り、他人の借金を返済する必要はありません。家族であっても他人の借金を返済する義務はありません。(相続が発生した場合を除き)親子であっても他人の借金を返済する義務はありません。ただし、夫婦については、夫婦の一方が日常の家事(食費・家賃・光熱費・子どもの生活費など)のために借り入れを行った場合、他方配偶者も支払義務を負うことはあり得ます(民法761条)。
なお、支払義務のない方に対する取り立ては、金融庁の事務ガイドラインによって禁止をされています。義務のない方への請求が止まらない状況があれば、専門家に相談されることをお勧めします。
(連帯)保証は「契約」なので、契約当事者の意思の合致がなければ成立しません。自身のあずかり知らぬところで(連帯)保証契約が締結されていても、通常、その契約は無効です。(連帯)保証契約は、口頭の合意では成立せず、書面又は電磁的記録によってしなければその効果が生じないとされていますので(民法446条2項、3項)、自身のあずかり知らぬところで契約書が偽造されているということになりますから、この契約書が偽造であることを主張し、その裏付けがあれば(例えば、筆跡が異なる、印鑑が偽造であるなど)、その契約は無効となります。ただし、自身の印鑑を自由に使わせていたなどの事情があれば、契約が有効になることもあり得ないとは言い切れません。このような事態が生じた場合には、専門家の判断が必要になると思われますので、ご相談されることをお勧めします。
未成年者(18歳未満。法律改正がありましたのでご注意ください。)が借金をするためには、親権者(又は未成年後見人など)が同意をしなければなりません。親権者等の法定代理人の同意なしにした行為は原則として取り消すことができるため、同意なしに借金を行っていれば、通常、その借金(をするという内容の金銭消費貸借契約)を取り消すことができます(例外として、未成年者が詐術を使っていた場合があります。)。未成年者が親権者等から同意を得ずに借金をしている場合、まずはその契約を取り消す方向で動くことになるでしょう。弁護士・司法書士などの専門家や行政の消費生活センターなどにご相談ください。
貸主(債権者)が「名義貸し」をしていることをわかって貸し付けを行っているなど特殊な事案を除き、借り入れを行った名義人が返済の義務を負っています。「知人のために借りてあげたのだ」という反論をしたとしても、通常は、名義人の支払義務が認められてしまいます。そのため、どのような事情があっても「名義貸し」をすることは止めたほうが良いでしょう。
なお、「名義貸し」で負った借金を返済した場合、名義を借りていた知人・友人に支払った借金額を返すよう求めていくことはあり得ます。しかしながら、このような状況になった場合、その知人・友人にはお金がないことが通常でしょうから、実際に返済をしてもらえる可能性は低いといえます。
仲の良い友人・知人・家族等であっても、「名義貸し」をすることはお勧めできません。
例外②・・・債務を負っているご本人が亡くなられた場合
例外の2つ目は、債務を負っているご本人が亡くなられた場合です。
債務者が亡くなられた場合、これらの債務は相続人に引き継がれることとなります(プラスの財産のみではなく、マイナスの負債も相続の対象となります。)。そのため、債務を負っている方の相続人が亡くなられた方の債務の問題に対応をする必要があります。このような場合には、相続人の方から相談を受けることとなります。
なお、負債の相続が発生する場合には、亡くなられた方の財産・負債すべてを引き継がないようにする「相続放棄」や財産の範囲内でのみ負債を引き継ぐ「限定承認」という手続きを検討することになりますが、これらの手続きは、原則として、ご本人が亡くなられたことを知ってから3か月以内に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。様々な手続き等でお忙しい中ではあると思いますが、できる限り早く専門家にご相談されることをお勧めします。なお、上記の3か月の期間を超えている場合にも相続放棄等をすることのできる場合があります。このような場合についても、ご自身で対応される前に、一度、専門家にご相談ください。
例外③・・・ご本人が精神障がい・知的障がい・認知症等により、判断能力を失っている場合
例外の3つ目は、ご本人が精神障がい・知的障がい・認知症等により、判断能力を失っている場合です。
ご本人に判断能力がない場合、ご本人自身で債務整理を行うことはできません。このような場合には、まず、本人について成年後見(保佐・補助を含む。)の申立を行ったうえで、成年後見人(保佐人・補助人)が債務整理を行うこととなります。成年後見制度に関する詳しい説明は、以下のリンク先から、各記事をご覧ください。
なお、弁護士や司法書士が後見人等に選任された場合には、通常、その弁護士や司法書士がご本人のために債務整理を行います。ご家族や社会福祉士などの福祉専門職が後見人等に選任された場合には、その方自身がご本人のために債務整理の手続を進める場合と、その方から専門職に依頼をする場合があり得ます。
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