離婚時の「年金分割」とはどのような制度なのでしょうか?
離婚に伴う手続きの一つに「年金分割」という手続きがあります。これは、婚姻期間中の厚生年金・共済年金の記録を分割する制度です。ここでは、年金分割について、基礎的な事項をご案内します。
「年金分割」とはどのような制度なのか?
「年金分割」とは、婚姻期間中の厚生年金・共済年金の記録を分割する制度です。結婚期間中、夫婦が加入していた厚生年金・共済年金の報酬比例部分について、夫婦のどちらか多い方から少ない方に分割することにより、将来受け取れる年金の額が不公平になることを修正する制度です。5:5になるように修正するケースがほとんどです。
なお、国民年金(基礎年金)は分割の対象ではありません。私的年金(企業年金など)については、財産分与で考慮されることとなります。
年金分割には、合意分割という方法と3号分割という方法があります。どちらも請求できるのは離婚後2年以内です。両制度の違いは以下のとおりです。
合意分割 | 3号分割 | |
---|---|---|
請求時期 | 離婚と同時 または離婚成立後2年以内 | 離婚成立後2年以内 |
分割の方法 | (元)夫婦の合意 又は裁判所の調停・審判・判決・和解 | 被扶養者であった方が単独で申請できる |
分割の範囲 | 婚姻期間中全部 | 平成20年4月以降に被扶養配偶者であった期間 |
一般的に、離婚の調停や訴訟を行う場合は、より範囲の広い合意分割を選択する場合が多いかと思います。この場合、離婚の調停・訴訟と一緒に申し立てることができるため、手間になりません。
- 婚姻期間中の厚生年金・共済年金の記録を分割する「年金分割」という制度がある。
- 合意分割と3号分割という制度があり、それぞれ分割の範囲や手続きが異なる。
- 年金分割の申請は、離婚後2年以内に制限されている(家庭裁判所の調停・審判の手続中に離婚から2年を経過した場合を除く。)。
年金分割の方法・・・合意分割の場合
合意分割の場合、まず「年金分割のための情報通知書」を取得することになります。これは、年金分割のために必要な情報が記載された書類です。裁判所の手続で年金分割を行う場合、この書類を裁判所に提出することが必須となります。
「年金分割のための情報通知書」は、年金事務所に請求をして取得します。年金事務所に「年金分割のための情報提供請求書」を提出して請求します。「年金分割のための情報提供請求書」の書式は、年金事務所の窓口で受け取ることができます。日本年金機構のウェブサイトから取得することもできます。窓口に提出するか、郵送により提出します。請求の際には、年金手帳、戸籍謄本(全部事項証明書)が必要です。通常、請求から回答まで1か月程度時間がかかります。
「年金分割のための情報提供通知書」を取得した後、(元)夫婦間で分割の方法について合意ができる場合は、必要な書類を作成し、年金事務所に提出をすることになります。分割の割合は、「年金分割のための情報提供通知書」に記載をされている範囲内であればどのような割合と設定することもできますが、通常は5:5とすることがほとんどです。
(元)夫婦間で年金分割についての話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所の調停・審判の手続を利用することが可能です。なお、年金分割についてのみ調停や審判を行うことも可能ですが、実際には、離婚調停や離婚訴訟の中で年金分割についても取り扱うケースがほとんどです。家庭裁判所で年金分割を行う場合、分割の割合は、ほぼ5:5となります。この割合が修正されるケースは、財産分与以上に珍しいと思われます。
年金分割は、年金事務所に必要書類を提出することによって行います。裁判所で年金分割をするという判断が出たとしても、年金事務所への届出がないと効力は生じません。裁判所が年金事務所に通知をするということもないので、ご自身で届出をする必要があります。この届出は、原則として離婚後2年以内に、年金分割の調停・審判の手続中に離婚から2年を経過した場合は、年金分割の調停・審判の日から6か月を経過するまでに年金事務所にする必要があります。
- 合意分割をする場合、まず、「年金分割のための情報提供通知書」を取得することから始まる。
- 家庭裁判所の手続で年金分割をする場合、通常は5:5の割合で分けることになる。
- 年金分割は、年金事務所に届出をしなければ効力は発生しない。裁判所で年金分割をした場合も同じであることに注意が必要である。
年金分割の方法・・・3号分割の場合
3号分割は、平成20年(2008年)4月以降、離婚時までの間に厚生年金に加入している人の被扶養者(3号保険者)であった期間について、一律50パーセントの割合で、保険料納付記録を分割する制度です。被扶養者であった方が単独で手続きをすることができ、相手方(元配偶者)の同意は不要です。家庭裁判所で手続きをする必要もありません。年金事務所で手続きを行うことが可能です。詳しい手続きは年金事務所にお問合せ下さい。
なお、3号分割についても離婚後2年以内にする必要があります。離婚後2年以内に手続きを行わない場合、権利を失ってしまいますので、離婚後、早いうちに手続きをしておかれることをお勧めします。まずは、年金事務所にご相談をされて下さい。
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