成年後見等申立の際に求められる「親族の同意書」とは何でしょうか?「親族の同意書」の作成を求められた場合、どのように対応をすればよいのでしょうか?

 現在の家庭裁判所の書式では、成年後見等申立の際に「親族の同意書」の提出を求める運用になっています。この「親族の同意書」は何のために提出する必要があるのでしょうか。また、ご親族との関係によっては「親族の同意書」を作成してもらえないということもある得ます。この場合にどのように対応をすればよいのでしょうか。一方で、「親族の同意書」の作成を求められた側はどのように対応をすればよいのでしょうか。

 ここでは、家庭裁判所が作成を求める「親族の同意書」について、解説します。

なぜ「親族の同意書」の提出が必要になるのか?

 現在の家庭裁判所は、後見等申立の際に「親族の同意書」(意見書)の添付を求めています。この「親族の同意書」の書式は、家庭裁判所が準備をしています。家庭裁判所のウェブサイトや窓口で受け取ることができます。書式は改訂されることがありますので、最新版をご確認ください。

 なお、「親族の同意書」(意見書)の作成を求める親族の範囲について、通常は、「ご本人の法定相続人」(ご本人が亡くなられた場合に、法律上、相続をする方。配偶者・子など。)となりますが、その他にもご本人と同居をしている方やご本人の財産を管理されている方などに対して照会を行うこともあります。

① 「親族の同意書」の記載事項

 (現在の家庭裁判所運用では)「親族の同意書」(意見書)の書式に記載する事項は以下のとおりです。

  • (成年後見等の申立ての対象となっている)ご本人と同意書(意見書)を記入される方との関係(続柄)
  • ご本人について成年後見等(後見・保佐・補助)を開始することについての意見。「賛成」・「反対」・「家庭裁判所の判断にゆだねる」のいずれかから選択することになります。反対の場合は「反対の理由」も記載することになります。
  • ご本人の成年後見人等(後見人・保佐人・補助人)について、候補者として記載されている方を選任することについての意見。「賛成」・「反対」・「家庭裁判所の判断にゆだねる」のいずれかから選択することになります。反対の場合は「反対の理由」も記載することになります。申立時に候補者が記載されていない場合には、記載をする必要はありません。
  • 同意書を記入される方の連絡先

② 家庭裁判所は「親族の同意書」をどのように利用・参考にするのか

 家庭裁判所は、通常、

  • 成年後見等を開始するかどうか
  • 候補者の方を後見人等に選任するかどうか

を判断する際に「親族の同意書」を参照することになります。「成年後見等の開始」について反対意見がある場合、裁判所は「鑑定」を実施するなどして、成年後見等開始の必要性を慎重に判断することになります。また、「候補者」について反対意見が出ている場合には、「候補者」を後見人等に選任せず専門職を後見人に選任する、後見監督人を選任するなどの対応をすることがあります。

 「成年後見等を開始するか」「誰を後見人等に選任するか」は、家庭裁判所が決定する事項ですので、家庭裁判所は、「親族の同意書」の「賛成」「反対」の意見のみで判断をするわけではありません。しかしながら、「親族の意見書」の内容は、家庭裁判所の審理に影響を与えることになります。

③ 「親族の同意書」を作成した親族に責任は発生するのか

 「親族の同意書」(意見書)に意見を記載したことにより、責任が発生することはありません。記載をした意見について、家庭裁判所から事情を聴取される可能性はありますが、責任を追及されるというものではありません。

「親族の同意書」を作成してもらえない場合はどうすればよいか?

 ご親族との関係が悪いなどの事情により、「親族の同意書」の作成を求めたとしても、これに回答をしてもらえないということもありうるでしょう。また、ご親族に行方不明の方がいて、「親族の同意書」の作成を求めることがそもそもできないというケースもあります。このような場合、「親族の同意書」の提出ができないため、後見等の申立手続きを進めることができないということになるのでしょうか。

 端的な回答としては、「親族の同意書」の提出ができなくとも後見等の申立ての手続を進めることはできます。家庭裁判所には、同意書が提出できない理由を説明すれば足ります。「同意書の作成をお願いしたが、回答をもらえない」「行方不明なので同意書の作成を求めることができない」などと説明をすることになります。また、「親族の同意書」の提出はないが、成年後見制度の利用や候補者の就任に反対していることが明らかなご親族がいる場合には、その情報を家庭裁判所に伝えます。

 家庭裁判所は、提出された情報を参考にして、家庭裁判所からご親族の方に連絡を入れる、ご親族の方の意見を聞かずに判断をするなどの対応を行います。「親族の同意書」(意見書)の提出があるまで手続きを進めない(決定を行わない)ということは、通常、ありません。

「親族の同意書」の作成を求められた場合、どのように対応すればよいか?

 他の親族の方や市区町村長などが成年後見申立ての準備を開始し、「親族の同意書」(意見書)の作成を依頼してくることがあり得ます。この「親族の同意書」の作成を依頼された場合、どのように回答をすればよいのでしょうか。

 この点についてのご回答としては、「ご自身の率直な考えを記入し、返信をすればよい」となります。どのように回答をされるかは自由です。この回答自体について、責任を追及されることはありません。ただし、記載をした内容について、家庭裁判所から問い合わせを受けることがあります。問い合わせは、通常、電話又は書面(照会書)により行われます。

 「後見等を開始する」べきかについて反対の意見がある場合には、「ご本人には判断能力があり、成年後見制度を利用すべき状態にない」などの意見を記載します。資料がある場合、これも家庭裁判所に提出すると、裁判所が判断の参考にします。一方で「成年後見制度そのものに不信感があるので、利用すべきでない」などの意見を記載したとしても、通常は、その意見は参考にされません。意見がない場合「家庭裁判所の判断にゆだねる」と記載をすれば足ります。

 「後見等の候補者」について反対の意見がある場合には、「候補者は○○の理由により後見人等としてふさわしくない」、「自分が後見人等の候補者に立候補する」、「専門職(弁護士・司法書士・社会福祉士など)による後見が望ましい」などと記載します。こちらについても、理由や資料があれば、それを家庭裁判所に提出します。こちらも、意見がない場合「家庭裁判所の判断にゆだねる」と記載をすれば足ります。

 なお、「親族の同意書」の作成依頼を無視していたとしても、後見等の申立手続きは進みます。ご意見がある場合は、無視をするのではなく、期限までに意見を出すことが重要です。特に親族間で紛争がある場合には、紛争があることを家庭裁判所に伝えることが重要です。家庭裁判所が紛争の存在を認識した場合には、専門職の後見人等を選任するなどの対応をとることになります。

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