令和3年度の成年後見等申立に関する統計の解説

 成年後見申立てを検討する際、「誰が後見等の申立てをするのか?」「誰が後見人等に選ばれるのか」「申立時に鑑定は行われるのか、費用はいくらくらいか?」といった疑問を持たれる方も多いかと思います。ここでは、最高裁判所事務総局家庭局が作成している「成年後見関係事件の概況-令和3年1月~12月ー」を参考に、現在の家庭裁判所の運用がどのようになっているのか、ご紹介します。

 なお、以下では、特に注記がない限り、令和3年1月から12月までの、全国の家庭裁判所の件数を合計した件数を記載しています。

目次

1 申立ての件数
2 誰が申立人になっているか
3 申立ての動機
4 審理期間
5 「鑑定」に関する統計
6 「誰が後見人等に選任されているか」についての統計

申立ての件数

 まず、令和3年1月から12月までの成年後見等事件の申立ての件数について、見ていきます。家庭裁判所の統計は以下のとおりとなっています。

合計後見申立保佐申立補助申立任意後見監督人選任
3万9809件2万8052件8178件2795件784件

 まず、全体の件数は、年々増加傾向にあります。令和元年(平成31年を含む)は3万5959件、令和2年は3万7235件でした。

 類型としては、後見類型が圧倒的に多くなっています。これは、これまでと同じ傾向です。ただし、毎年、保佐・補助の類型が増えつつあります。保佐・補助類型は、「まだ判断能力を完全に失ったわけではないが、一定程度、判断能力に問題がある」という場合に利用する制度です。少しずつではありますが、予防的な観点も考えて、早い時点から成年後見制度の利用を開始するという傾向が進んでいるように思われます。

 次に、任意後見監督人の選任についてご説明します。任意後見契約は任意後見監督人の選任申立てをしなければ効力が発生しません。「任意後見監督人の選任申立」の件数は、任意後見の利用が開始された件数と、ほぼ一致します。任意後見監督人の選任件数は、毎年、700件から800件程度で、特に増加傾向にありません。任意後見制度の利用は、今のところ、進んでいない印象です。

 なお、参考として、令和3年12月末日時点で成年後見制度を利用している方の総数は、以下のとおりとなります。

合計後見保佐補助任意後見
23万9933件17万7244件4万6200件1万3826件2663件

誰が申立人になっているか

 次に、「誰が申立人になっているか」について、家庭裁判所の統計は以下のとおりとなっています。

本人配偶者兄弟姉妹市区町村長
8198件1774件1895件8236件4443件9185件
他に、その他の親族や法定後見人・任意後見人・検察官が申立人になっているケースがあります。

 従来は、子・兄弟姉妹・配偶者などによる申し立てが多く、「遺産分割の手続きを進めることができない」といった具体的な問題が起きて、初めて申立てを行うケースが多い傾向にありました。しかしながら、最近では、ご本人による申立ても増えています。ご本人が、自身の将来のために、予防的に申立てを行うというケースが増えているものと思われます。ご本人が申立人になるケースでは、保佐・補助の類型となることが多く、保佐・補助の利用件数が伸びているという統計とも一致します。最近は、行政(権利擁護センターなど)や社会福祉協議会などによる成年後見制度利用促進の活動もあり、本人申立てが増加していく傾向にあるのではないかと思われます。

 また、市区町村長による申し立ての件数が多いのも、最近の特徴です。ご親族による虐待が行われている/疑われているようなケースでは、行政が介入し、市区町村長による後見等申立が行われるという流れが確立しつつあります。

申立ての動機

 申立ての動機に関する統計は以下のとおりです。

預貯金の
管理・解約
保険金受取不動産の処分相続手続訴訟手続等介護保険契約身上保護
3万5744件5569件1万2564件9041件2086件1万4737件2万6469件
申立ての動機が複数あるケースなどもあります。

 財産の管理・処分を動機とする申立てが多いですが、最近は、介護保険契約や身上保護など、「身上監護」を動機とする申立てが増えている傾向にあります。

 なお、ご本人の状態についての統計は以下のとおりとなっています。

認知症統合失調症知的障がい高次脳機能障害遷延性意識障害その他
2万3926件3403件3606件1665件319件4663件
取下げなどによって終了したケースは含まれていません。

審理期間

 家庭裁判所に成年後見等の申立てを行ってから後見人等が選任されるまでの時間は、以下のとおりとなっています。なお、審理の期間は、「鑑定を行うか」「候補者がいるか」「候補者をそのまま後見人に選任するか」により大きく異なってきますので、統計の平均と審理のスピードは一致しないケースもあります。

1か月以内2か月以内3か月以内4か月以内5か月以内6か月以内6か月以上
1万6559件1万3059件5282件2217件934件472件750件

 先ほどもお話ししたとおり、審理に長期間を要しているケースは、鑑定に相当の時間がかかっているケースや後見人の候補者がなかなか見つからないケースが多いのではないかと思われます。

「鑑定」に関する統計

 成年後見等の申立てを行うと、後見等の開始の必要があるか、後見・保佐・補助のどの類型にあたるか、任意後見の開始が必要かなどを判断するため「鑑定」が実施されることがあります。「鑑定」とは、簡単に説明すると、裁判所が、上記の検討を行うため、医師に精密検査を依頼するものです。

 成年後見等の申立てにおいて、「鑑定」が行われる場合、審理の期間が長くなり、「鑑定料」も必要になります。そのため、「どの程度の案件で鑑定が実施されている」のか、鑑定料はいくらになるのか、は申立人の関心ごとの一つになります。

① 鑑定が行われた件数・割合について

 家庭裁判所の統計によると、令和3年1月から12月までの総申立件数3万9809件のうち、鑑定が実施された件数は2154件となっています。割合としては、5.4パーセントです。

② 鑑定に要した期間

 鑑定に要した期間の統計は、以下のとおりとなっています。

1か月以内2か月以内3か月以内4か月以内5か月以内6か月以内6か月以上
1179件752件143件42件19件8件11件

 この統計からではわかりませんが、一般的に、主治医の先生による鑑定の場合は短期間で結果が出る傾向にありますが、これまで受診をしたことのない医師の鑑定を受ける場合には、長期間の時間を要するケースがあるように思われます。

③ 鑑定の費用

 鑑定の費用に関する統計は以下のとおりです。なお、東京家庭裁判所のみ高額になっている傾向にあるため、東京家庭裁判所(支部を含む)と東京家庭裁判所を分けて記載しています。

家庭裁判所5万円以下10万円以下15万円以下20万円以下20万円超
全体1083件910件156件3件2件
東京家庭裁判所106件315件141件2件1件
東京家庭裁判所以外977件595件15件1件1件

 以上のとおり、東京家庭裁判所のみ鑑定費用が高額になる傾向があります。東京家庭裁判所で成年後見等の申立てを行う際には注意が必要です。

「誰が後見人等に選任されているか」についての統計

 「誰が後見人等に選任されるか」は、申立人となられる方の多くにとって、最大の関心ごとなのではないかと思います。ここでは、家庭裁判所が誰を後見人に選任しているかなどについての統計をご紹介します。なお、家庭裁判所による後見人等の選任基準の一般的な説明は、以下のリンク先をご覧ください。

① 申立書に候補者が記載されているケースはどの程度あるのか?

 家庭裁判所の統計によると、令和3年1月から12月までの間に申立てが行われた成年後見等の申立事件において候補者の記載があったケースは、全申立3万6904件のうち、8821件、割合にすると23.9パーセントでした。

② 家庭裁判所は誰を後見人等に選任しているのか?

 統計は以下のとおりとなります。

親族弁護士司法書士社会福祉士社会福祉協議会その他
7852件8207件1万1965件5753件1415件4379件
複数人が後見人等に選任されるケースもあります。

 最近の傾向として、ご親族が後見人等に選任される割合が減っており、専門職が後見人等に就任するケースが増えています。

 なお、申立書に記載された候補者がそのまま後見人等に就任をした割合については、公表されていません。

③ 法定後見において、後見監督人等が選任されたケースはどの程度あるのか?

 家庭裁判所の統計によると、令和3年1月から12月の間に家庭裁判所が後見監督人等を選任した件数の合計は1174件となっています。後見監督人の資格としては、弁護士が528件、司法書士が474件、社会福祉士が5件、社会福祉協議会が126件、その他が41件となっています。

 なお、統計からは不明ですが、社会福祉協議会が後見監督人等に選任されるケースとしては、市民後見人が後見人等に選任されており、この市民後見人のサポートのために社会福祉協議会が後見監督人等に就任するというケースが多いのではないかと思われます。

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