配偶者が亡くなった後に「離婚」をすることはできるのでしょうか?

 「離婚に向けて話し合いをしていたところ、相手方が亡くなってしまった」、「相手方が亡くなった後、離婚をしたくなった」など、亡くなられた相手方との関係を切りたいというご希望をお持ちの方もいらっしゃると思います。

 また、「亡くなられた相手方の親族との関係を切りたい」との希望をお持ちの方もいらっしゃると思います。

 ここでは、亡くなった(元)配偶者や(元)配偶者の親族との関係について、解説します。

配偶者が亡くなった場合、婚姻関係はどうなるのか?

 婚姻中に夫婦の一方が亡くなると、婚姻関係は解消されます。婚姻関係が解消されるため、再婚をすることも可能になります。なお、親子関係が消滅することはありません。

 「配偶者の死後に離婚をしたい」と考える方もいらっしゃると思いますが、配偶者の死亡によって婚姻関係が終了しているため、配偶者の死後に離婚をすることはできません。離婚届を提出しても、効力はありません(そもそも、市区町村窓口が離婚届を受け取りません。)。

 このように「配偶者の死後に離婚をする」(離婚届を提出するなどして離婚の手続をとる)ということはできません。しかし、その他の制度を利用することにより、離婚をしたときと同じような効果を得ることができます。それぞれの目的に合わせて利用できる制度は、次のとおりです。

① 亡くなった配偶者との婚姻関係を終了させる → 配偶者の死亡により、自動的に婚姻関係は終了する(手続きは不要です)
② 亡くなった配偶者側の親族との親族関係を終了させる → 「姻族関係終了」の手続をとる
③ 苗字(氏)を結婚前のものに戻す → 「複氏」の手続をとる
④ 亡くなった配偶者との相続関係を断ち切る → 「相続放棄」の手続をとる

 なお、未成年の子がいる場合、親権者は、自動的に生存配偶者の単独親権となります(民法818条3項。なお、生存配偶者が親権を喪失している場合などは扱いが異なります。)。

 一方で、離婚の際に請求することのできる「養育費」、「財産分与」、「年金分割」を、配偶者の死後に請求する手続きはありません。

 金銭の請求は相続(遺産分割)の手続によって行うことになりますが、相続・遺産分割のルールは養育費や財産分与のルールとは異なります。なお、配偶者は遺留分の権利を持っていますので、(相続放棄をしない限り)財産を一切引き継ぐことができないということはありません。ただし、遺留分の権利を行使する場合は、期間内(配偶者の死亡及び遺留分の侵害を知った時から1年以内)に請求をしなければならないため、注意が必要です。

 「年金」については、「遺族年金」の問題になります。詳しくは年金事務所にお問い合わせください。

「姻族関係の終了」の手続き

 「姻族」とは、婚姻によって発生する親族関係のことをいいます。民法の規定は以下のとおりです。

民法725条(親族の範囲)
 次に掲げる者は、親族とする。
 六親等内の血族
 配偶者
 三親等内の姻族

 結婚により、配偶者(2号)及び三親等以内の姻族(3号)との間で親族の関係が発生します。このうち、三親等以内の姻族との親族関係は、配偶者が亡くなった後も続きます。三親等以内の姻族との親族関係を切るためには、姻族関係を終了させる手続きをすることが必要になります。

 姻族との関係を終了させることについての民法の規定は以下のとおりです。

民法728条(離婚等による姻族関係の終了)
 姻族関係は、離婚によって終了する。
 夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする。

 民法上、姻族関係を終了させるためには「姻族関係を終了させる意思を表示」することが必要とされています。具体的には「姻族関係終了届」という届出を市区町村役場に提出することによって姻族関係を終了させることができます。具体的な手続きは以下のとおりです。

  • 届出をすることができるのは、生存している(元)配偶者の方です。
  • 届出の場所は、届出をする方の本籍地、又は、現在住んでいる場所の市区町村役場です。
  • 提出をする書類は、姻族関係終了届出書と戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)です。「姻族関係終了届出書」の書式は、各自治体のウェブサイトから入手するか、市区町村役場の窓口で受け取るようにして下さい。
  • 届出をする時期について、制限はありません。

 注意が必要な点は以下のとおりです。

  • 配偶者の方が亡くなっても、配偶者の方の血族(血のつながった親族)との姻族関係は継続するため、姻族関係の終了を希望する場合は届出が必要です。
  • 姻族関係を終了させることの法律上の効果としては、姻族の方との間の扶養義務が消滅することにあります。
  • 亡くなられた方の血族の側から姻族関係の終了を強制することはできません。
  • 一度姻族関係を終了させると、復活させることはできません。
  • 「姻族関係終了届」を提出したとしても、氏(苗字)や戸籍は変動しません。苗字を婚姻前の苗字に戻す場合は、「複氏届」を提出することが必要です。次に解説します。
  • 「姻族関係終了届」を提出したとしても相続権を失うことはありませんし、遺族年金の受給権を失うこともありません。相続権を失わせるためには、別途「相続放棄」の手続が必要です。後で説明します。

 以上の点への注意は必要ですが、姻族関係の終了は市区町村役場に書面を提出するだけで行うことができますので、ご検討いただければと思います。

苗字の変更(複氏)

 姻族関係の終了とは別に、苗字(氏)を婚姻前の氏に変更することもできます。民法の規定は以下のとおりです。

民法751条1項(生存配偶者の復氏等)
 夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる。

 苗字を婚姻前の氏に変更する手続きも市区町村に「複氏届」を提出することで行うことができます。家庭裁判所の手続は不要です。具体的な手続きは以下のとおりです。

  • 届出をすることができるのは、生存している(元)配偶者の方です。
  • 届出の場所は、届出をする方の本籍地、又は、現在住んでいる場所の市区町村役場です。家庭裁判所ではありません。
  • 提出をする書類は、複氏届書と戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)です。「複氏届書」の書式は、各自治体のウェブサイトから入手するか、市区町村役場の窓口で受け取るようにして下さい。
  • 届出をする時期について、制限はありません。

 「複氏届」の手続と「姻族関係終了」の手続は別のものです。両方の効果を得るためには、両方の手続を行う必要があります。それぞれ、市区町村役場で必要な手続きを取られるようにして下さい。

「相続放棄」の手続き

 最後に、相続について説明します。姻族関係の終了や複氏の手続をしたとしても相続権を失うことはありません。姻族関係を終了させたり複氏をしても、相続をすることは可能です。なお、祭祀承継(系譜・祭具・墳墓などの承継)については、複氏が影響を及ぼします(民法751条2項、769条)。

 しかし、以下のような事情から、亡くなられた配偶者の相続を希望されない方もいらっしゃると思います。

  • 亡くなった配偶者に借金が多く、これらを引き継ぎたくない
  • 心情的に、亡くなった配偶者の資産を引き継ぐ気になれない

 このような場合、「相続放棄」の手続を利用することができます。相続放棄をすることにより、亡くなった配偶者の財産を、一切、引き継がないことになります。資産も負債も、両方、引き継がないことになります。

 相続放棄をする場合、家庭裁判所で申述の手続きを行います。「姻族関係の終了」や「複氏」と異なり、市区町村役場で手続きをとることはできません。相続放棄の詳しい手続きは以下のリンク先をご覧ください。

 また、相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」にする必要があります(民法921条2号)。「姻族関係の終了」や「複氏」と異なり、期限内に手続きをする必要がありますので注意が必要です。詳しい解説は以下のリンク先をご覧ください。

 このように、相続放棄の手続は、「姻族関係の終了」や「複氏」よりも難しく、また、期間の制限もあります。相続放棄をお考えの方は、ぜひ、早いうちに弁護士に相談されることをお勧めします。

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