後見人・保佐人・補助人の「同意権」「取消権」「代理権」とはどのような権利なのでしょうか?

 後見人・保佐人・補助人には、法律上、その類型に応じ「同意権」と「代理権」が与えられることがあります。また、後見人等は、同意のない行為を取り消すことができるという「取消権」を行使することもできます。
 ここでは、これらの権利がどのようなものなのか、解説をしていきます。

後見人・保佐人・補助人の同意権・取消権・代理権の範囲

 後見人・保佐人・補助人の同意権・取消権・代理権については民法に規定があり、それぞれ、その範囲も民法によって決められています。また、任意後見人にも、契約の範囲内で、代理権が与えられます。
 その内容をまとめると、以下の表のようになります。

後見人保佐人補助人任意後見人
同意権の範囲同意権はない
(本人が法律行為をすることは想定されていない)
民法13条1項記載の行為
+ 家庭裁判所が指定した行為
家庭裁判所が指定した行為
(同意権を持たない場合もある)
ない
取消権の範囲「日常生活に関する行為」のみ取り消すことができない。
その他の行為は取り消すことができる
民法13条1項記載の行為
+ 家庭裁判所が指定した行為
家庭裁判所が指定した行為
(同意権がない場合は取消権もない)
ない
代理権の範囲原則、全て(包括代理権)家庭裁判所が指定した範囲
(代理権を持たない場合もある)
家庭裁判所が指定した範囲
(代理権を持たない場合もある)
任意後見契約で定めた範囲の代理権を持つ

 以下、この「同意権」・「取消権」・「代理権」について、詳しく解説をしていきます。

「同意権」・「取消権」とはどのような権利なのか?

 同意権とは、ご本人が契約などの法律行為をするときに、保佐人・補助人が「それをしてもいいですよ」と同意をする権利です。保佐人・補助人の同意を得なければならない法律行為を、ご本人が、保佐人・補助人の同意を得ずにした場合、保佐人・補助人は、その法律行為を取り消すことができます(これを「取消権」といいます。民法13条、同法17条1項)。また、ご本人も、保佐人・補助人の同意を得ていない場合には、取消権を使うことができます。

 後見類型の場合、ご本人が自分自身で法律行為をすることは想定されていないため、後見人がご本人の法律行為に同意をするということはありません。成年後見人は、ご本人がした法律行為全般を取り消すことができます。ただし、「日用品の購入その他日常生活に関する行為」については、取消しの対象外とされています(民法9条)。

 任意後見契約に基づいて就任する任意後見人には「同意権」「取消権」はありません。任意後見契約は、その効力が発生しても、本人の能力は制限されることがありません。なお、任意後見人は、任意後見契約の中で定めた範囲内の代理権を持っています。

 保佐人は、民法13条1項記載の重要な行為と家庭裁判所が定めた行為について同意権・取消権を持っています。民法13条1項記載の重要な行為は、以下のとおりです。

1 元本を領収し、又は利用すること。
2 借財又は保証をすること。
3 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
4 訴訟行為をすること。
5 贈与、和解又は仲裁合意(中略)をすること。
6 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
7 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
8 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
9 民法602条に定める期間を超える賃貸借をすること。

 保佐の場合、家庭裁判所の決定により、以上の行為以外にも同意権・取消権を設定することもできます。ただし、追加の同意権・取消権を設定する場合は、ご本人の同意が必要です。

 補助人は、家庭裁判所が特に定めた場合に限り、同意権・取消権を持っています。ただし、同意権・取消権を設定できる行為は、民法13条1項に書かれている行為(上記の行為)のうちの一部に限られます。補助の場合、民法13条1項に書かれている行為以外について同意権・取消権を設定することはできません。また、同意見・取消権を設定するためには、ご本人の同意が必要です。

 補助人は、同意権・取消権を持たないこともあります。補助人が同意権・取消権を持っているかは、登記事項証明書を見ることで確認をすることができます。被補助人と取引をする場合には、補助人に連絡をし、登記事項証明書を見せてもらうことで、同意権・取消権の有無を確認することができます。

 なお、任意後見人は、法律上、同意権・取消権を持ちません。

「代理権」とはどのような権利なのか?

 代理権とは、ご本人の代わりに、ご本人のために、法律行為をしてあげることができるという権利です。

 後見人の場合、全ての行為について包括的な代理権を持っています(民法859条1項)。後見の場合、当然に権利を持っていることとされており、ご本人の同意がなくても代理権を持つことになります。

 保佐人・補助人の場合、家庭裁判所が定めた特定の行為について代理権が認められます(民法876条の4第1項、同法876条の9第1項)。保佐・補助の場合、代理権を設定するためには、ご本人の同意が必要です。

 保佐人、補助人については、代理権を持っていないこともあります。保佐人・補助人が代理権を持っているか、代理権の範囲は法務局で記録されます、そのため、登記事項証明書を見ることで、代理権の範囲を確認をすることができます。保佐人・補助人と取引をされる方で、代理権の有無の確認が必要な場合は、登記事項証明書を見せてもらうことにより、代理権の有無を判別することができます。

 任意後見人は、任意後見契約において定められた範囲の代理権を持ちます。任意後見契約において代理権を定めることのできる事務は、ご本人の生活、ご本人の療養看護、ご本人の財産管理に関する事務のうちの、全部または一部とされています。任意後見人の代理権の範囲も法務局で記録されますので、登記事項証明書を見せてもらうことで確認をすることができます。

同意権・取消権・代理権の制限

 これまでお話ししてきたように、後見人・保佐人・補助人には、それぞれ制度によって範囲は異なりますが、同意権・取消権・代理権という、強い権限が与えられています。ただし、これらの権利は、後見人等が、何でも、好き勝手に、自由に使うことができるわけではありません。

 まず、以下の行為について後見人・保佐人・補助人が代理権を行使しようとする場合には、その代理権について一定の制限を受けます。例えば、以下のような規定があります。

  • ご本人の居住用不動産を処分(売却など)する場合には、家庭裁判所の許可を得なければならない(民法859条の3など)
  • ご本人と後見人等の利害が相反する行為をする場合には、家庭裁判所に特別代理人を選んでもらわなければならない(民法860条・826条)
  • 後見等監督人が選任されている場合には、一定の重要な行為をする場合、後見監督人の同意を得なければならない(民法864条・865条)

 また、後見人・保佐人・補助人が同意権・取消権・代理権を行使する際には、ご本人の意思を尊重し、ご本人のおかれている状況に配慮をして行使をしなければなりません。民法は「成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。」と定めています(民法858条)。後見人等は、強い権限を持っているからといって、その権限を濫用してはいけません。

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