家庭裁判所の「調停」とはどのような手続きなのでしょうか?

 離婚をするかどうか、離婚の条件をどうするか、別居中の生活費をどうするか、養育費をどうするか、面会交流をどうするかなど、(元)夫婦間で合意が整わない場合には家庭裁判所の調停手続きを利用することになります。

 しかし、多くの方は「裁判所」と言われて、どのような手続きをするのか、イメージがわかないのではないでしょうか?あるいは、ドラマや報道で見る刑事事件の裁判をイメージされ、「怖い」と思われる方もおられると思います。

 ここでは、実際に家庭裁判所の調停を申し立てるとどのように手続きが進むのか、解説をしていきます。

調停の申立て

 離婚・養育費など、家族関係の問題に関する調停は、家庭裁判所で扱われます。「裁判所」というとニュースやドラマなどで見る法廷をイメージされるかもしれませんが、調停は会議室のような部屋で行われます。家庭裁判所にも法廷はありますが、離婚訴訟にならない限り、あまり使うことはありません。

 家庭裁判所に調停を申し立てる場合、家庭裁判所に「申立書」を提出することになります。申立書の書式は、家庭裁判所の窓口で受け取るか、裁判所ウェブサイトから取得することができます。これらに必要事項を基準して裁判所の窓口に持参するか、郵送により提出します。

 裁判所に申立書を提出する際、手続きに応じ、戸籍などの添付を求められます。どのような添付資料が必要かも、家庭裁判所の窓口か、裁判所ウェブサイトで知ることができます。申し立てる手続きによって必要書類が異なりますので、どの手続きを申し立てるかご確認の上、必要書類を集めるようにして下さい。

 また、調停の申立ての際には手数料を納める必要があります。この手数料は収入印紙で納めます。手数料の額は手続きによって異なりますが、数百円から数千円程度です。例えば、離婚調停の手数料は1200円です。このほか、切手(郵券)を納めるよう、求められます。納める切手の額は数百円から数千円程度です。裁判所によって納める切手の額が微妙に異なる場合がありますので、申立予定の裁判所に確認されることをお勧めします。

 各家庭裁判所では、窓口で手続きの案内も行われていますので、必要に応じご利用ください。ただし、家庭裁判所で教えてもらえるのは手続きの方法だけになります。「どのようにすれば自分にとって利益になるか」という点には答えてもらうことができません。このような質問は弁護士にするようにしていただければと思います。

  • 家族関係の問題は家庭裁判所で扱われる。
  • 調停を申し立てる場合、家庭裁判所に申立書、添付資料、収入印紙・切手を提出する。申立書の書式は家庭裁判所の窓口や裁判所ウェブサイトで取得することができる。

調停はどこの裁判所で行うのか?

 裁判所を利用する手続きを利用する場合は、法律により裁判所の管轄が決まっていますので、その管轄にしたがって、裁判所に申立てを行うことになります。

 まず、家庭裁判所は、各都道府県に1か所(北海道のみ4か所)、県庁所在地に所在するほか、地域によって支部や出張所が設置されていることもあります。例えば東京都の場合、東京家庭裁判所、東京家庭裁判所立川支部、東京家庭裁判所八丈島出張所・伊豆大島出張所が設置されており、大まかにいうと、それぞれ、東京都心、多摩地区、島しょ部を管轄しています。細かい管轄は、裁判所ウェブサイトに記載されています。「〇〇市 家庭裁判所 管轄」などと検索をしていただければ、裁判所のウェブサイトが表示されるはずです。

 これらの家庭裁判所のうち、実際にどこに申し立てるのかは、当事者の住所によって決まることになります。なお、より正確にいうと、「住所」とは「今、現在、実際に住んでいる場所」を意味し、住民票上の住所と異なることもありえます。誰の住所を基準とするかは、調停、審判、訴訟のそれぞれで、微妙に違いがありますので、以下、ご説明をします。

 調停(離婚・養育費など)の管轄は、原則として「相手方住所地」となります。例えば、調停を申し立てたいAさん(申立人)が東京都豊島区、調停の相手方となるBさん(相手方)が札幌市中央区に住んでいる場合、調停の申立先は、札幌市中央区を管轄する、「札幌家庭裁判所」ということになります。

 離婚訴訟の管轄は、「原告又は被告の住所地」となります。先ほどの例で説明すると、訴訟を起こしたいAさん(原告)が東京都豊島区、訴訟の相手方となるBさん(被告)が札幌市中央区に住んでいる場合、訴訟の申立先は、東京都豊島区を管轄する「東京家庭裁判所」と札幌市中央区を管轄する「札幌家庭裁判所」の、どちらでもよいということになります。

 審判の管轄は、どのような内容の審判を申し立てるのかによって異なります。例えば、婚姻費用(別居中の生活費)の支払いを求めるものは、「申立人か相手方の住所地」に申立てを行うこととされています。また、子の面会交流に関する申し立ては「子の住所地」に申立てを行うこととされています。それぞれの手続で管轄がどのようになっているのかは、裁判所のウェブサイトでお調べいただくか、各家庭裁判所の窓口で行われている「手続案内」で教えてもらうことができます。

 また、上記の例外として、当事者が合意で定めた家庭裁判所を管轄とすることができることもあります。さらに、特別な事情があるときは、本来の管轄とは異なる家庭裁判所で調停などが行われることもあります。

 なお、通常は、管轄外の裁判所に申立てを行うと、管轄のある家庭裁判所に移送されます。ただし、事情により移送されない場合もあります。事件を移送するかどうかは、家庭裁判所が判断をします。

 以上のとおり、特に調停について、「相手方住所地」に申立てをする必要があるため、別居中の場合、相手方が遠方にいるということがありえます。このような場合、電話で調停に参加するなどの方法を利用できることがあります。詳しくは、以下のリンク先をご覧ください。

  • 裁判所の管轄は法律で決まっており、裁判所ウェブサイト等で確認することができる。
  • 調停の申し立ては、原則として「相手方住所地」に行う。遠方になることもあるが、電話で調停に参加することができる場合もある。
  • 審判や訴訟の管轄についても法律で決まっている。この管轄は、手続きによって異なってくる。

調停申立て以降の流れ・・・離婚の場合

 家庭裁判所の調停は、調停を申し立ててから初回の調停まで1~2か月程度、その後は、1か月に1回程度、調停が実施されることになります。ただし、裁判所が混雑しているなどの理由により、これよりも時間がかかることもあります。最近は、新型コロナウイルス感染防止の影響もあり、裁判所での密回避等の理由により、調停の期日の間隔が以前よりも空く傾向にあります。

 何回、調停期日を重ねるかは事案により様々です。「離婚をするかどうか」だけが争いになっているようなケースや「しばらく音信不通であった」といったケースでは、1回の期日で調停が成立することもあります。しかし、このようなケースは珍しく、何度も調停期日を重ねることが一般的です。特に親権者をどちらにするかが争いとなっており、家庭裁判所調査官による調査が行われるようなケースではその調査に時間を要することになりますし、財産分与が争いになっており、分与の対象となる財産が多くあるケースなどでは争点の整理に時間を要することもあります。このようなケースでは、調停成立/不成立となるまで1年以上かかるケースもあります。

 裁判離婚も、裁判の期日は、1~2か月に1回程度となることが一般的です。ただし、裁判離婚で弁護士の代理人がついているケースでは、当事者の出頭は求められないことが一般的です。もちろん、毎回出頭することもできます。裁判離婚の場合にどれくらいの時間がかかるかは争点の量や内容によりますが、裁判提起から数か月かけて争点の整理を行ったうえで、両当事者を呼び出す期日を決め、両当事者の話を聞き、その後、裁判所が判決を核という流れが一般的です。数か月で判決となるケースの方が珍しく、1年以上かかるケースも多くあります。一般に、離婚訴訟の前に離婚調停を経ていますので、調停開始から判決まで2~3年を要するケースも珍しくありません。

 また、判決に不服があれば高等裁判所への控訴、さらには最高裁判所への上告をすることもできますので、このようになるとさらに時間はかかります。

Q
離婚事件について、調停をすることなく、いきなり訴訟をすることはできないのでしょうか?
A

離婚事件では調停前置主義という制度がとられており、原則として、まず調停を申し立てなければならないこととなっています。調停を経ずにいきなり離婚訴訟を提起した場合、通常は、裁判所が、その事件を調停に回すことになります(付調停。家事事件手続法257条1項、2項)。

 以上のとおり、一般に、離婚の手続きには時間がかかります。ただし、時間がかかるからといって問題を先送りにすればさらに解決までの時間を要することになりますので、速やかに着手することが問題の早期解決につながります。

  • 調停は、1~2か月に1回程度実施される。調停が成立するか、不成立が確定するまで続く。
  • 離婚の場合、調停が成立しない場合、調停はそのまま終了する。

 調停によって解決できない場合に訴訟の提起が必要となる類型としては、離婚の他に婚姻の無効・取消し、離縁の訴え、養子縁組の無効・取消し、嫡出否認、認知、認知の無効・取消し、親子関係存否の訴え、父を定めることを目的とする訴えなどがあります。これらは、次に説明をする「審判」ではなく「(人事)訴訟」により、解決を図ることになります。

調停申立て以降の流れ・・・離婚(など)以外の場合

 離婚など以外の、婚姻費用・面会交流・養育費などについても、合意が整わない場合、家庭裁判所の調停を利用することができます。調停の手続は、離婚等の場合とほぼ同じです。離婚と違いが出てくるのは、調停での話し合いが成立しないときです。

 離婚や離縁など以外の調停は、調停によっては話し合いができない場合(調停不成立)、「審判」に移行します。審判への移行は自動的に行われます。新たに申立書を提出する必要はありません。

 審判の手続では、裁判官が、双方の言い分や提出された資料を検討した上で、「このようにしなさい」という決定(「審判」と呼ばれます。)を出します。この「審判」をするための検討のため、必要な資料の提出を求められたり、主張をまとめた書面の提出を求められたり、裁判官や家庭裁判所調査官から話を聞かれたりすることがあります。

 裁判所は、審判を行う場合、審判の内容が記載された書面(審判書)を作成し、両当事者に告知します。手渡しで受け取ることも可能ですが、通常は郵送で送られてきます。

 審判書を受け取った両当事者は、審判の内容に不服がある場合には、不服申立てをすることができます。即時抗告と呼ばれます。この即時抗告には期限があり、審判書を受け取った日の翌日から2週間以内にしなければなりません。即時抗告をした場合、高等裁判所でさらに審理が行われることになります。

 不服申立てがされることなく不服申し立ての期間が経過するか、不服申立てが認められなかった場合、審判は「確定」します。審判が「確定」すると、その判断は動かないものとなります。

 両当事者は、確定した審判において定められた事項に従わなければなりません。確定した審判を守らない場合は、家庭裁判所による支払の勧告(履行勧告)の申し出をすることができます。また、養育費などについて支払いがない場合には、地方裁判所において強制執行が可能になります。強制執行について、詳しくは以下のリンク先をご覧ください。

  • 離婚など以外の調停は、調停がまとまらない場合、「審判」に移行する。
  • 「審判」では、裁判所が、資料や言い分を検討し、決定を出すことになる。

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