協議離婚の手続きについて【前半】

協議離婚の手続きについて【前半】
協議離婚は、夫婦が話し合いによって離婚に合意し、離婚届を役所に提出することで成立する、日本で最も一般的な離婚方法です。
民法第763条では、「夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。」と定められています。
協議離婚の手続き
- 夫婦間の話し合い:離婚の合意および上記の事項について協議します。
- 離婚届の作成:合意内容をもとに離婚届を作成します。
- 離婚届の提出:夫婦の本籍地または所在地の市区町村役場に離婚届を提出します。
話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。
協議離婚の際に決めるべき事項
未成年の子どもがいる場合、以下の点について話し合い、合意する必要があります。
- 親権者の決定:どちらが子どもの親権を持つかを明確にします。
- 面会交流:子どもと非親権者との面会や交流の方法や頻度を取り決めます。
- 養育費の分担:子どもの養育に必要な費用をどのように分担するかを決定します。
これらは民法第766条第1項で規定されており、子どもの最善の利益を最優先に考慮することが求められます。
第1 親権者の決定(未成年の子どもがいる場合)
(1) 親権者とは?
親権者とは、子どもの養育や財産管理を行う法的責任を持つ親のことです。
日本では未成年の子どもがいる場合、離婚時に親権者を決めなければ離婚は成立しません(民法819条1項)。
(2) 親権者を決める基準
- 子どもの生活環境の継続性(現在の生活環境を維持できるか)
- 育児の関与度(どちらが主に子どもの世話をしていたか)
- 経済力(子どもの養育費を負担できるか)
- 子どもの意思(特に10歳以上の子どもは意思が尊重される傾向)
(3) 親権者と監護者の違い
「親権者」と「監護者」は異なる概念です。
- 親権者:子どもの財産管理・法律行為の代理も含む権利を持つ
- 監護者:実際に子どもと一緒に生活し、育てる役割を持つ
例えば、親権者は父親、監護者は母親という形も可能ですが、実務上は親権と監護権は分けずに同じ人が持つことが一般的です。
第2 面会交流の取り決め
(1) 面会交流とは?
離婚後、親権を持たない親(非監護親)が子どもと会ったり連絡を取ったりすることを指します。
子どもにとっては、親と定期的に交流することが精神的安定につながるため、面会交流のルールを決めておくことが重要です。
(2) 面会交流の決め方
- 頻度:月に1回、2回など
- 時間・場所:自宅、公共の場、オンラインなど
- 方法:直接面会、電話、ビデオ通話、手紙のやり取り
- 宿泊の有無:長期間の交流が必要か
(3) 面会交流の注意点
- 子どもの意思を尊重すること(嫌がる場合は無理に会わせない)
- 面会の監督役を決めることも可能(第三者の立ち会いを求めることもある)
第3 養育費の決定
(1) 養育費とは?
養育費は、子どもが自立するまでに必要な生活費・教育費を親が分担する費用です。
離婚後、親権者となった親が全て負担するわけではなく、非親権者も養育費を支払う義務があります。
(2) 養育費の決め方
- 支払額:家庭裁判所が提示している「養育費算定表」を参考に決定
- 支払期間:通常、子どもが20歳になるまで
(最近の傾向では大学に進学したときは22歳に達した後最初に到来する3月までとするのが一般的です) - 支払方法:毎月○万円を○日までに振込
(3) 養育費のトラブルを防ぐ方法
- 公正証書を作成し、養育費の未払い時に強制執行できるようにする