年金分割とは?~基本と手続きについて~

📖 この記事の目次
- ✅ 1. 年金分割とは?
- ✅ 2. 年金分割の種類:合意分割と3号分割
- ✅ 3. どの分割方法が有利?
- ✅ 4. 年金分割の効果とは?
- ✅ 5. 年金分割の手続き方法
- (1)情報提供請求
- (2)分割方法の選定と合意
- (3)年金分割請求書の提出
- ✅ 6. 注意点とアドバイス
- ✅ 7. まとめ
📌 1. 年金分割とは?
年金分割とは、離婚時に夫婦の一方が受け取る予定の厚生年金(報酬比例部分)を、もう一方に分割する制度です。基礎年金(国民年金)は対象外です。
たとえば、会社員の夫と専業主婦の妻が離婚した場合、夫の厚生年金に関する保険料納付記録の一部を妻の年金記録として「移し替える」ことができます。これにより、妻の将来の年金額が増え、老後の生活の安定につながります。
※2015年10月からは共済年金も厚生年金に一元化され、公務員もこの対象になりました。
📌 2. 年金分割の種類:合意分割と3号分割
(1)合意分割
合意分割は、夫婦が話し合いによって厚生年金の分割割合を決定し、年金記録を分ける方法です。
- 対象:婚姻期間中の厚生年金保険の報酬比例部分
- 分割割合:最大50%まで
(通常は50%にされることが多く、裁判でも2分の1にすることで争いになることはまずありません) - 要件:双方の合意、または家庭裁判所の決定が必要
- 期限:離婚から2年以内に請求
分割の対象となるのは、婚姻期間中に支払われた厚生年金保険料に対応する保険料納付記録(報酬比例部分)です。専業主婦(夫)であっても、婚姻期間中に相手が厚生年金に加入していれば、その分割を受けることができます。
(2)3号分割
3号分割は、平成20年(2008年)4月以降、会社員や公務員の配偶者(第3号被保険者)だった人が、自動的に年金を分割できる制度です。
- 対象:2008年4月以降の第3号被保険者期間のみ
- 分割割合:常に2分の1
- 要件:相手の同意や合意は不要。単独で請求可能
- 期限:こちらも離婚から2年以内に請求が必要
3号分割の大きなメリットは、「配偶者の同意が不要」な点です。つまり、離婚後に単独で申請でき、分割率も自動で50%になります。
📌 3. どの分割方法が有利?
原則として、3号分割の対象期間(2008年4月以降)については、3号分割を活用するのが有利です。配偶者の同意が不要であり、かつ確実に50%の分割が行われるため、手続きがスムーズで確実です。
ただし、それ以前の期間については3号分割の対象外なので、合意分割を併用して請求する必要があります。そのため、両制度を組み合わせて手続きを進めるのが一般的です。
📌 4. 年金分割の効果とは?
(1)将来受け取る老齢厚生年金額が増える
分割された年金記録は、自分の年金として将来受け取れるようになります。受給開始年齢は原則65歳で、老後の生活資金として非常に重要です。
(2)分割された側の年金額は減少しない
年金分割は「記録を分ける」だけであり、分割される側(たとえば夫)の将来の受給額が直接減るわけではありません(※年金機構上は減額扱いだが、既に他の記録と合算されているため影響は限定的です)。
(3)財産分与の一環として認識される
年金分割は、離婚時の財産分与の一種として扱われます。そのため、調停や訴訟でも財産分与の一環として検討されることになります。
📌 5. 年金分割の手続き方法
(1)情報提供請求
まずは年金分割の基礎資料を入手するために、年金事務所に「年金分割のための情報提供請求書」を提出します。これは離婚前でも可能です。
提出物:
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
- 夫婦の婚姻期間がわかる書類(住民票など)
(2)分割方法の選定と合意
- 合意分割:夫婦で分割割合を話し合い、合意書(もしくは調停調書)を作成
- 3号分割:単独で申請可能、合意は不要
(3)年金分割請求書の提出
離婚から2年以内に年金事務所へ年金分割の請求書を提出する必要があります。
📌 6. 注意点とアドバイス
- 離婚から2年を過ぎると請求権が消滅します。期限には要注意です。
- 相手の年金加入状況や報酬記録に基づいて分割額が決まるため、あらかじめ情報提供請求で確認することが大切です。
- 年金分割は「将来の受給権」であり、現金で受け取れるものではない点に注意が必要です。
- 必要であれば、弁護士や社会保険労務士に相談することをおすすめします。
📌 7. まとめ
年金分割は、離婚後の老後の生活を支える大切な制度です。婚姻中に相手が築いた厚生年金の一部を、自身の年金記録として移すことで、受給額を増やすことができます。
- 合意分割は話し合いや調停が必要
- 3号分割は対象期間が2008年4月以降に限定されるが、配偶者の同意は不要
- 請求期限は離婚から2年以内
将来後悔しないためにも、離婚時には「年金分割」のことを必ず検討し、正しい手続きを進めましょう。
弊所では離婚場の年金分割に関するご相談を随時お受けしています。気になる方はお気軽に下記よりご連絡お待ちしております。
南池袋法律事務所へのお問い合わせは、
お電話、LINE又はお問い合せフォームをご利用ください。
南池袋法律事務所へのお問い合わせは
お電話、LINE又は
お問い合せフォームをご利用ください。
- 平日10:00〜19:00以外の時間帯はお電話に出られないことがあります。電話がつながらない場合は、お手数をおかけして申し訳ありませんが、LINE又は以下のお問い合わせフォームをご利用ください。
- 南池袋法律事務所では、原則として、メールのみ、LINEのみでの法律相談の対応は行っておりません。法律相談をご希望の場合は、受付完了後、相談日時、方法等について、折り返しご連絡をさせて頂きます。
- 平日10:00〜19:00以外の時間帯はお電話に出られないことがあります。電話がつながらない場合は、お手数をおかけして申し訳ありませんが、LINE又は以下のお問い合わせフォームをご利用ください。
- 南池袋法律事務所では、原則として、メールのみ、LINEのみでの法律相談の対応は行っておりません。法律相談をご希望の場合は、受付完了後、相談日時、方法等について、折り返しご連絡をさせて頂きます。