一度決まった後見人等が変更されることはあるのでしょうか?
法定後見の場合、後見等の開始の決定が行われる時点で、家庭裁判所が後見人等を選びます。通常、成年後見制度の利用が終了するまで、同じ後見人等が業務を続けることになります。しかしながら、様々な理由により、後見人等の交代が必要になるケースがあります。
ここでは、後見人等の交代について、ご説明します。
「後見人等の交代」はどのように行われるのか?
後見人等の交代は、家庭裁判所の手続としては、前任の後見人等の「辞任」又は「解任」の手続と、新しい後見人等の「選任」という形で行なわれます。前任の後見人等の側から申し出る場合は「辞任」、家庭裁判所の方から動く場合は「解任」となります。
後見等の開始決定が行われた場合、後見等が終了するまで、常にどなたかが後見人等として就任をしていなければなりません。後見人等が空白になることはありません。そのため、後見人等が「辞任」又は「解任」によって空白になる場合、家庭裁判所は、必ず、新しい後見人等を選任することになります。新しい後見人等については、候補者を立てることもできますが、最終的に誰を選任するかは家庭裁判所の判断となります。これは、後見等が開始されるときと同じです。
なお、後見人等が「辞任」又は「解任」によって交代する場合と成年後見制度の終了は異なります。後見人等が「辞任」又は「解任」となっても後見等は終了しません。後見等の終了(ご本人が亡くなられたことによる終了は除く。)は別の手続となります。
ご本人のご家族には、後見人等の交代を求める権限はありません。後見人の交代は家庭裁判所の裁量となっており、ご本人のご家族には後見人の交代を求める申立権がありません。後見人等を監督する家庭裁判所に対して後見人等の問題を報告することはあり得ますが、これを受けて家庭裁判所がどのように対応するかは、家庭裁判所の裁量に任されています。
どのような場合に「後見人等の辞任」が認められるのか?
後見人等から申し出て後見人等を外れることを「辞任」と呼びます。この「辞任」は自由にすることができず、家庭裁判所の許可が必要です。また、後見人等を辞任する場合には「正当な理由」が求められます。辞任を求める主な理由としては、以下のものがあげられます。
- ご本人やご本人の親族らとの関係の悪化。このようなケースでは、辞任を認めるかは、「辞任を認めることが本人の利益になるか」という観点から慎重に判断されることになります。なお、ご本人のご親族らには、後見人等の辞任を求める申立てをする権限はありません。
- 後見人等の側が病気・高齢などにより、業務を続けることが困難になった場合。
- 後見人等が遠方に転居するなどして業務を続けることが困難になった場合。なお、この場合、家庭裁判所は、監督する家庭裁判所を変更するかの検討も行うことがあります。
- ご本人が遠方に転居するなどして業務を続けることが困難になった場合。この場合は、その地域の後見人等を追加選任するなどして対応することも考えられます。
- ご本人の課題が解決し、専門職後見人による対応が不要となった場合。
- 後見制度支援信託などの利用が開始され、専門職後見人による対応が不要となった場合。
いずれについても「後見人等の辞任がご本人の利益にかなうか」という観点から審理が行われます。後見人等が辞任を望んだとしても、家庭裁判所が辞任を認めないというケースもあります。
家庭裁判所が後見人等の辞任を認める場合、後任の後見人等の選任が必要になります。前任の後見人等が候補者を推薦する場合と家庭裁判所が後見人等を探すケースがあります。なお、後見制度支援信託を利用する場合など、当初から複数の後見人等が選任されている場合には、単に後見人等の人数を減らす場合もあります。
なお、最近、特に課題(遺産分割・債務整理など)が解決したなどの「事情の変更」を理由とする後見人等の交代を柔軟に認める運用が定着しつつあります。当初の選任時は親族を後見人等に選任しなかったが、課題の解決を機に親族を後見人等に選任することもあり得ます。また、必要に応じて複数の後見人等を選任し、課題が解決したら辞任を認めるという運用も行われるようになりつつあります。
後見人等の解任
家庭裁判所の側から特定の後見人を外すことを「解任」と呼びます。横領などの不正行為があった場合や定期報告を行わないなどの不適切な事務があった場合などに解任されることがあります。
なお、事務が不適切な場合などは、解任ではなく、専門職後見人の追加選任や後見監督人の選任などによって対応する場合もあります。
後見人等の解任は、家庭裁判所が裁量で行います。ご本人、ご本人のご家族、支援者らなどは、家庭裁判所に情報提供により、家庭裁判所が後見人等を解任することもあり得ます。
後見人等の人数が変更される場合
後見人等は、複数人、選任されることがあります。ご本人の身上監護や日常の財産管理はご親族が行い、法律上の課題は専門職後見人が対応するといったケースなどです。最近、ご本人の状況に応じ、柔軟な対応が行われるようになっています。
課題が解決したことを理由に専門職の後見人等が不要となったことを理由とする専門職後見人の辞任を認めたり、ご本人が遠方に転居されたことなどを理由として追加の後見人等を選任したりなど、後見人等の人数を変更する運用も柔軟に行われるようになってきています。後見人等の人数の変更は、今後、さらに柔軟に行われるようになっていくと思われます。ご親族や市民後見人を後見人等として選任し、必要に応じて専門職後見人を追加したり、辞任を認めたりすることが、今後、行われていくものと思われます。
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