労働審判とはどのような手続きなのでしょうか?

 労働問題について、会社(使用者)との話し合いで解決が難しい場合、裁判所の手続の利用を検討することになります。このとき、通常の裁判を利用することもできますが、労働問題については「労働審判」という手続きが設けられています。ここでは、この「労働審判」の手続について、どのような点に特徴があるのか、説明をさせて頂きます。

労働審判とはどのような手続きなのか?

 労働審判は、労働問題に関する民事紛争を迅速、適正、実効的に解決することを目的として、2006年から導入されている手続きです。地方裁判所の手続で、通常は本庁(原則として、県庁所在地にある裁判所)で扱われますが、東京地方裁判所の立川支部など、一部の支部でも行われることがあります。

 労働審判の手続では、裁判官1名(「労働審判官」と呼ばれます。)と労働事件に詳しい労働審判員2名(通常、使用者側の委員と労働者側の委員が1名ずつ選ばれます。)の、合計3名で審理が行われます。手続きは非公開で、通常、ラウンドテーブル法廷(会議室のような部屋)で審理が行われます。

  • 労働審判は、労働問題に関する民事紛争を迅速、適正、実効的に解決することを目的として行われる、地方裁判所の手続きである。

労働審判の特徴

① 審理期間が短い

 労働審判の最大の特徴は、審理期間が短いことにあります。通常の裁判は、提訴から解決まで1年以上かかることも珍しくありません。一方、労働審判は、原則として3回以内の期日で審理を終結するルールになっており、通常、申立てから数か月で審理が終結します。このように、労働審判を利用することにより、労働問題が早期に解決する可能性が高いことがメリットとしてあげられます。

 また、労働審判は、審理期間が短いため、第1回審判期日前の準備がより重要になります。裁判の場合、主張→反論→再反論・・・と手続きが進んでいくことが通常ですが、労働審判の場合、第1回の期日の前に予想される反論に対する再反論なども含めて準備をしておく必要があります。「後で反論をする」ということは、通常できませんので、最初の準備が重要となります。

 労働審判を利用する場合、問題が早期に解決する可能性が高いというメリットがある一方で、準備時間が短く、大変になることが多いというデメリットがあります。

② 本人出席の必要がある

 裁判の場合、弁護士を代理人として選任していれば、多くの期日は、弁護士が代理で出席することができます。ご本人は出席してもしなくてもよいことがほとんどです。通常、必ず出席しなければならないのは、尋問が行われるときのみです。

 一方、労働審判の場合、毎回の期日に労働者本人も出席する必要があります。弁護士を代理人として選任した場合は、弁護士と一緒に期日に出席します。通常、使用者側も、弁護士のみではなく、担当者が出席することになります。労働審判の期日では、裁判官や労働審判員から、労働者本人や使用者側担当者に対し、直接、事情聴取が行われます。事情聴取は、通常、第1回の期日で行われますので、十分に事前準備をしておくことが必要になります。

③ 手数料が安い

 労働審判を申し立てる際に裁判所に納める手数料は、裁判をする場合の手数料の約半分と設定されています。

④ 原則として地方裁判所の本庁で行われる

 東京地方裁判所の立川支部など一部の大規模な支部を除き、労働審判は、地方裁判所の本庁(原則として県庁所在地)で行われます。県庁所在地から離れた場所にお住まいの方は、裁判所まで出頭する負担が生じます。

⑤ 柔軟な解決が期待できる

 労働審判では、裁判所の仲介の下、調整が行われますので、柔軟な解決を期待することができます。一方、話し合いがまとまらない場合にも、原則として、裁判所(労働審判委員会)が「審判」という形で判断を行います。この「審判」に対しては異議を出すことができ、どちらか一方から異議が出されると、通常の裁判に移行します。

 なお、事案が複雑である、証拠が膨大であるなどの事情により労働審判になじまない事案の場合は、労働審判委員会が、労働審判を終了させることがあります。この場合、裁判所の審判(判断)をもらうことはできません。

  • 労働審判の最大の特徴は、審理期間が短いことにある。早期の解決が期待できる一方、準備が大変となる。
  • 労働審判では、労働者ご本人が審判の期日に出席し、裁判官などからの質問に、直接、答えることになる。

労働審判の手続きの流れ

 労働審判の申立てをすると、原則として、申立てから40日以内に第1回の期日が指定されます。第1回の期日までの間に使用者側から反論の書面が提出されることが通常で、労働者側は、必要に応じ、再反論の書面を提出することになります。労働審判は、第1回の期日で事実関係に関する整理を全て行うことが通常であるため、再反論が必要な場合は、第1回期日までの間にすることが必要になります。このため、第1回期日までの間の準備が重要となります。

 第1回の期日では、提出された書面や証拠を踏まえ、裁判官や労働審判委員から、労働者本人や使用者側担当者などに対し、質問が行われます。この質問への答えを踏まえ、争点を整理し、事案の解決に向けての審理が行われます。多くの労働審判では、第1回の期日で、審理の方向性が決まります。なお、第1回の期日は、通常、2~3時間程度の時間を要します。

 労働審判は、原則として3回以内の期日で終了します。第2回、第3回の期日は、通常、問題解決のための調整が行われます。ここで調整ができた場合、手続きは終了します。調整ができなかった場合、原則として、裁判所(労働審判委員会)が「審判」という形で判断を行います。この「審判」に対しては異議を出すことができ、どちらか一方から異議が出されると、通常の裁判に移行します。

 統計によると、労働審判が申し立てられた件数の約7割で話し合いにより解決に至っており、話し合いによって解決しなかったケースでも、半数弱は「審判」に異議が出されることなく、解決しています。労働審判が申し立てられたケースの約8割で、最終的な解決に至っており、早期に最終的な解決を目指すことのできる手続きとなっています。

  • 労働審判の審理は、第1回の期日で集中して行われる。そのため、第1回までの準備が重要となる。
  • 第2回、第3回の期日では、解決に向けての調整が行われることが多い、ここで調整ができた場合、調停により手続きは終了する。調整ができなかった場合、原則として、裁判所が「審判」を行い解決案を示す。この解決案に異議が出た場合、通常の訴訟に移行する。

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