会社の命令や規則に違反をしてしまいました。直ちに解雇は有効になるのでしょうか?

 会社の命令や規則に違反をしてしまった場合や問題行動をしてしまった場合、直ちに解雇は有効になるのでしょうか?有効になる場合とならない場合の違いはどこにあるのでしょうか?この記事では、会社の業務命令に違反した場合の解雇について、基本的な考え方をお伝えします。

法律上の解雇の規制

 まず、労働契約法は、以下のように、使用者による解雇に制限を設けています。

労働契約法16条(解雇)

 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

この条文は、会社の命令や規則に違反をしてしまった場合にも適用されます。会社の命令や規則に違反をしたことにより直ちに解雇が有効となるわけではなく、「客観的に合理的な理由」があり、「社会通念上相当」と認められる場合に限り、解雇は有効になります。

 なお、期間の定めのある労働契約を結んでいる場合は、「やむを得ない事由」がある場合でなければ、契約期間中に労働者を解雇できないと定められており(労働契約法17条1項)、より厳しい基準で審査されることになります。

会社側の命令や規則は有効なものであるのか

 命令違反や規則違反を理由とする解雇が有効なものなのかを考えるにあたっては、まず、使用者側による業務命令や規則が有効なものであったのかを検討する必要があります。使用者側の業務命令や規則がそもそも無効なものであった場合、これに違反をしたとしても解雇が有効になることはありません。

 例えば、使用者側が、業務上の必要性がないにもかかわらず、いやがらせのために転勤を命令したような場合には、その命令は人事権を濫用する違法なものとなり、この命令に従わず転勤を拒否したとしても、解雇が有効になることはないと考えられています。

違反行為を認定することができるか

 次に、労働者が本当に命令や規則に違反をしたのか、問題行為をしたといえるのかを検討する必要があります。違反行為・問題行為が存在することは、解雇が有効であると主張する使用者側が証明しなければなりません。解雇を争う裁判などでは、使用者側は、労働者の違反行為・問題行為を、証拠によって証明しなければならないルールとなっています。使用者が主張する事実関係が誤っている場合には、事実関係を争うことが必要になります。反対の証拠がある場合には、その証拠を集めておくことも重要です。

 また、会社側が問題行為と主張する行為が外形的にあったとしても、上司の指示でそのような行為をしたような場合には違反行為とは認定できないことになります。この場合も証拠の収集が重要になります。

命令・規則の違反は重大なものなのか

 業務命令や規則が有効で、労働者がこれに違反していたという事実が認められる場合や労働者が問題行為をしていたと認められる場合であっても、直ちに解雇が有効となるわけではありません。違反や問題行動の程度が軽微な場合は、警告や指導をすることにより改善する見込みがあるとされ、解雇までは認められないということがあります。違反や問題行為が職場に与えた影響、使用者による注意・指導の有無、問題を起こした労働者の反省の有無などを考慮して、本当に解雇という手段をとる必要性があったのか、審査されることになります。

 特に私生活上の問題行為(勤務時間外の交通違反、犯罪行為など)を理由とする解雇の場合は注意が必要です。本来、使用者は、労働者の私生活上の行動に介入することはできませんので、私生活上の問題行為を理由とする解雇が有効になるケースは限られています。解雇が有効となるのは、労働者による問題行為により、会社の業務に著しい支障が生じたときに限られると考えられています。

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