婚姻費用のキホン

📌 1. 婚姻費用とは?

婚姻費用とは、夫婦が別居している期間中に、一方の配偶者が他方の生活を支えるために必要な費用のことを指します。
これは、民法第760条に基づき、夫婦が互いに生活を維持する義務があることから生じるものです。
婚姻費用は、夫婦の収入差に応じて、収入が多い方が少ない方に支払うのが一般的です。

📌 2. 婚姻費用の内訳

婚姻費用には、以下のような項目が含まれます。

  • 生活費:食費、光熱費、衣類費など。
  • 住居費:家賃、住宅ローン、管理費など。
  • 医療費:治療費、薬代など。
  • 教育費:子どもの学費、教材費、給食費など。
  • 保育料・学童保育費:保育園や学童保育の費用。
  • 通信費・交通費:電話代、インターネット代、通勤・通学の交通費など。
  • 交際費・娯楽費:友人との外食費用、趣味を楽しむ費用、子どもを連れていくレジャー施設の費用など。

これらの費用は、夫婦の生活水準や子どもの年齢、収入・資産などによって、具体的な金額も異なります。

📌 3. 婚姻費用の計算方法

婚姻費用の金額は、家庭裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」に基づいて計算するのが一般的です。
この算定表は、支払う側(義務者)と受け取る側(権利者)の年収、子どもの人数や年齢などを考慮して、婚姻費用の目安額を示しています。

具体的な計算方法としては、以下の手順で行います。

  • 夫婦それぞれの年収を確認します。
  • 子どもの人数と年齢を確認します。
  • 算定表を参照し、該当する年収と子どもの人数・年齢に対応する婚姻費用の目安額を確認します。

例えば、夫の年収が600万円、妻の年収が200万円、子どもが2人(14歳以下)の場合、算定表による婚姻費用の目安額は月額10〜12万円程度となります。

なお、算定表は標準的なケースを前提としているため、特別な事情がある場合には金額が調整されることがあります。
例えば、子どもが私立学校に通っている場合や、特別な医療費が必要な場合などです。

📌 4. 婚姻費用の請求方法

婚姻費用を請求する方法としては、以下の手順があります。

  • 夫婦間での話し合い:まずは、夫婦間で婚姻費用の分担について話し合い、合意を目指します。合意に至った場合は、合意書を作成し、公正証書にしておくことが望ましいです。
  • 内容証明郵便での請求:話し合いが難しい場合は、内容証明郵便を利用して、婚姻費用の請求を行います。これにより、請求の事実と時期を証明することができます。
  • 家庭裁判所への調停申立て:話し合いや内容証明郵便での請求がうまくいかない場合は、家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停を申し立てます。調停では、調停委員を介して、婚姻費用の分担について話し合いが行われます。
  • 審判による決定:調停で合意に至らなかった場合は、審判手続きに移行し、裁判官が婚姻費用の金額を決定します。

婚姻費用は、請求した時点から発生するとされています。
そのため、別居を開始したら、できるだけ早く婚姻費用の請求を行うことが重要です。

📌 5. 支払いがなされない場合の対処法

婚姻費用の支払いがなされない場合は、以下の方法で対処することができます。

  • 強制執行の申し立て:調停調書や審判書、公正証書などの債務名義がある場合は、裁判所に申し立てることで、相手の給与や預貯金などを差し押さえることが可能です。
  • 財産の把握:強制執行を行うためには、相手の財産を把握しておくことが重要です。
    別居前に預貯金口座の情報などを控えておくと良いでしょう。
  • 弁護士への相談:支払いがなされない場合は、専門家の助言を得ることで、適切な対応が可能となります。

📌 6. 婚姻費用に関する注意点

婚姻費用に関して注意すべき点は以下の通りです。

  • 別居の原因が請求者にある場合:不貞行為など、婚姻破綻の原因を作った側は、請求が認められないことがあります。
    ただし、子どもと同居している場合は生活費のみ請求が認められることもあります。
  • 請求は早めに:婚姻費用は請求した時点から発生するため、別居開始後すぐに動くことが重要です。
  • 公正証書の作成:合意に達した内容は公正証書化しておくと、トラブルの予防になります。

📌 7. 婚姻費用が離婚を後押しする場合も

婚姻費用は生活安定の手段である一方、請求される側にとっては大きな経済的・精神的負担になりえます。

その結果、「早く離婚した方が楽だ」と感じ、離婚の意思を後押しする要因となる場合もあります。

例えば、収入の大半を婚姻費用に充てなければならないような状況では、プレッシャーが強くなり離婚を選択する動機となるのです。

📌 8. 請求が認められないケースとは?

婚姻費用は原則として認められますが、不貞や暴力など重大な婚姻破綻の原因を作った側の請求は、「権利の濫用」として棄却される場合があります。

ただし、子どもと同居している場合には生活費部分のみ認められることがあります。

請求の可否は個別判断となるため、必要に応じて裁判所に判断を仰ぐべきです。

📌 9. まとめ

婚姻費用は、生活保持義務に基づく強い権利であり、特に別居中の配偶者や子どもの生活を支えるために重要です。

請求が認められれば、離婚までの間、安定した支援が得られます
一方で、正当性・適正額・請求のタイミングには十分注意が必要です。

不安がある場合には、弁護士などの専門家に相談することが望ましく、感情的にならず冷静な判断が、後悔しない選択へとつながります。


弊所では婚姻費用に関するご相談を随時お受けしています。気になる方はお気軽に下記よりご連絡お待ちしております。

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